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「だぁれだ?」



目の前が暗くなったと思ったら、束の間の浮遊感に襲われ。

それについてゼロスに尋ねようとしたら今の言葉が投げ掛けられた。



「…………ゼロス。楽しいですか? それ……」

「世のカップルの皆さんは楽しいみたいですよ?」



いつの間にか私の目を塞いでいた手を退かし、彼はいつもの調子で言う。

ゼロスが背後に居るので確証は持てないが、きっとその表情もいつもの笑顔なのだろう。



「で、ここは一体ドコなんです?」

「さて何処でしょう?」

「………………」



何処でしょうって言われても……。



「丘……ですね」

「丘ですねぇ」

「誰も居ませんね」

「居ませんねぇ」

「……馬鹿にしてます?」

「してませんよ」



私の問いにゼロスは笑い、そうかと思うと私の手を取り歩き出した。

眼下には先程私達がいたと思われる町並み。

見渡せば広がる草の絨毯。

小高い場所に一本の大きな木。

その木の根本まで来ると彼はそこに胡座をかき、そして自らの足をポンポンっと叩いてみせた。



「ゼロス?」

「頭を乗せて下さい」

「……………………は?」



その行動の意味を計りかね、どう反応して良いか困ってると彼はグイッと私の手を強引に引っ張る。



「……っ!」



当然ながら体勢を崩した私は、ゼロスの胸の中に飛び込む形になった。



「それとも、コチラの方が良いですか?」

「……ちょっ」



慌ててその場から離れようとする私。

───しかし。

次のゼロスの言葉に、その動きは止められた。



「ユウさんて柔らかいですねぇ」

「……それは、私に喧嘩を売ってると解釈しても良いですよね?」

「あぁ、いえ。太ってるとか……」

「えい。」

「いはいれふよぉ、ユウはん……」



彼の無神経さに、私は目の前の頬をつまみ上げた。

きっと『痛いですよぉ』と訴えているであろう彼に、私は睨み付けたままで問う。



「で、一体何がしたかったんですか?」

「……ユウはんが、おふはへほほうはっはほへ」

「わかんない」

「………………ほ、いわへはひへほ」



『と、言われましても』……と言っているのだろうか。

彼は困った顔をしながら、私に手を離すように促した。

……仕方ない。

このままじゃ話も何も進まないし……。

私は渋々手を引き、先程の質問を繰り返す。



「で、一体何がしたかったんです?」

「……頬っぺが取れるかと思いましたよ」

「な・に・が・し・た・かっ・た・のっ?」



答えようとしない彼にずずいっと近づき、私はゼロスの思惑を聞き出そうとする。

その迫力に押されたのか、彼は若干身を反らせながら頬を掻き、思いもよらなかった事を口にした。

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