(5/9)

もはや謎でもなんでもない!
正体ダダ漏れ!
獣神官・ゼロス!

「その体は、あなたのような方が好きにして良いモノではありません。返して頂きますよ」

告げるゼロスに『ユウ』は余裕の笑みを浮かべた。

「人間ごときに何が出来ると言うのだ?」

「……人間?」

ピクリと、ゼロスの眉がはね上がった。

ただ、それだけなのに。

ざわり、とあたしの全身が粟立った。

次の瞬間、

「があぁぁぁぁっ!!」

『ユウ』の叫び声がこだまする。

「あなたのような方に格下扱いされるとは……心外ですねぇ」

「ああぁぁぁぁぁっ!!」

叫ぶ『ユウ』と対峙するゼロスは、一見いつもと変わりはない。

だが、

「魔族……」

あたしの隣で、アメリアが呟いた。

久しぶりに見た、高位魔族の空気を纏うゼロスの姿に、
知らず呼吸が浅くなる。

背筋を、冷たいモノが流れて落ちた。

「……ユウさんっ!!」
「アメリアっ!!」

苦悶の表情を浮かべるユウに堪えかねて、
駆け寄ろうとしたアメリアの腕をあたしは掴んで引き止める。

「行ってどうするつもり!?」

あたしの問い掛けに、アメリアはただ俯いた。

そう。
あたし達には何も出来ない。

「でも……」

「下手に近づいて、ヤツがアメリアの体に移動したりしたら、その方が厄介だわ」

「でも、このままじゃユウさんが……」

「大丈夫よ。ゼロスは、ユウを傷つけないから」

あたしの言葉に、それまで黙っていたゼルが目を見開くのがわかった。

わかっている。

魔族を信用するなんて、正気の沙汰ではない事くらい。

あたしも目の前で叫び声を上げているのが、例えばアメリアだったとしたら、
こんなに冷静ではいられなかっただろう。

自分でも、わからない。

何故、そう思うのか。

しかし。

ゼロスは、ユウを傷つけない。

そう確信しているあたしが、いた。

「貴、様……まさか、魔族……か!?」

「ここまでしなければ、僕が『何』かわからないんですか? そんな方に体を好きにされるなんて、ユウさんらしくないですねぇ」

ヤレヤレと呆れたように、のんびり話すゼロス。
対する『ユウ』は、息も荒くゼロスを睨みつけていた。

「いったい、何がどうなってるんだ?」

「あたしにもわからないけど……」

ガウリイの問い掛けに、ハッキリとは答えられないけど。

<<>>
[ 戻る ]


ALICE+