もはや謎でもなんでもない!
正体ダダ漏れ!
獣神官・ゼロス!
「その体は、あなたのような方が好きにして良いモノではありません。返して頂きますよ」
告げるゼロスに『ユウ』は余裕の笑みを浮かべた。
「人間ごときに何が出来ると言うのだ?」
「……人間?」
ピクリと、ゼロスの眉がはね上がった。
ただ、それだけなのに。
ざわり、とあたしの全身が粟立った。
次の瞬間、
「があぁぁぁぁっ!!」
『ユウ』の叫び声がこだまする。
「あなたのような方に格下扱いされるとは……心外ですねぇ」
「ああぁぁぁぁぁっ!!」
叫ぶ『ユウ』と対峙するゼロスは、一見いつもと変わりはない。
だが、
「魔族……」
あたしの隣で、アメリアが呟いた。
久しぶりに見た、高位魔族の空気を纏うゼロスの姿に、
知らず呼吸が浅くなる。
背筋を、冷たいモノが流れて落ちた。
「……ユウさんっ!!」
「アメリアっ!!」
苦悶の表情を浮かべるユウに堪えかねて、
駆け寄ろうとしたアメリアの腕をあたしは掴んで引き止める。
「行ってどうするつもり!?」
あたしの問い掛けに、アメリアはただ俯いた。
そう。
あたし達には何も出来ない。
「でも……」
「下手に近づいて、ヤツがアメリアの体に移動したりしたら、その方が厄介だわ」
「でも、このままじゃユウさんが……」
「大丈夫よ。ゼロスは、ユウを傷つけないから」
あたしの言葉に、それまで黙っていたゼルが目を見開くのがわかった。
わかっている。
魔族を信用するなんて、正気の沙汰ではない事くらい。
あたしも目の前で叫び声を上げているのが、例えばアメリアだったとしたら、
こんなに冷静ではいられなかっただろう。
自分でも、わからない。
何故、そう思うのか。
しかし。
ゼロスは、ユウを傷つけない。
そう確信しているあたしが、いた。
「貴、様……まさか、魔族……か!?」
「ここまでしなければ、僕が『何』かわからないんですか? そんな方に体を好きにされるなんて、ユウさんらしくないですねぇ」
ヤレヤレと呆れたように、のんびり話すゼロス。
対する『ユウ』は、息も荒くゼロスを睨みつけていた。
「いったい、何がどうなってるんだ?」
「あたしにもわからないけど……」
ガウリイの問い掛けに、ハッキリとは答えられないけど。
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