「……う、ん……」
ユウの体が力を失ってすぐ、彼女は意識を取り戻した。
自分を抱きしめているゼロスを見て、それから不思議そうに辺りを見回す。
「……ゼロス?」
「大丈夫ですか? ユウさん」
にっこりと微笑みかけるゼロスに、ユウは不快げに眉をひそめた。
「ゼロス……」
「はい?」
「放して」
ピシッ!
ゼロスの固まる音が、離れているあたし達にまで聞こえた……ような気がする。
「ヒドいですっ! 目覚めて第一声がそれですかっ!?」
「いいから早く放して!」
「ユウさんっ!!」
ジタジタともがき始めたユウを、ムキになって放さないゼロスくん。
……教えてあげるべきだろーか?
ゼロス、あんた……
ユウに刺されっぱなしなんだってば。
もちろん、純魔族のゼロスに物理攻撃は効かない。
だからこそ刺されている本人ですら、その事を忘れているのだろうが。
人間としては、日頃仲良くしている相手を刺しながら談笑というのは、気分の良いモノではない。
というか、まともな神経があれば果てしなくコワい。
「……いったい、何があったんですか?」
ようやくゼロスの腕から逃れ、ユウはあたしに問い掛けた。
「あんた、大丈夫なの!?」
「?……喉が、少し痛いです」
ケホ、と軽く咳をするユウにあたしは思わず苦笑いを浮かべた。
「ま、あれだけ叫べば無理もないな」
「それ以外は!? 大丈夫ですか?」
ゼルとアメリアの言葉の意味がわからないのか、
キョトンとした顔でユウはあたしに説明を求めた。
う〜ん、説明が微妙に面倒くさいんだよなぁ。
仕方なく、かいつまんで事の次第を説明していると、
ガウリイが、遠慮がちにあたしのマントを引っ張った。
「どしたの? ガウリイ?」
「なぁ、アレ……いくらなんでも、可哀相じゃねぇか?」
「あ……」
ガウリイの指す先には、
膝を抱えてしゃがみ込み、地面に『の』の字を書くゼロスの姿。
自然とあたし達の視線はユウへと集まり…
ユウは困ったように指先で頬を掻いた。
「ま、大体そんなトコロね」
「……わかりました」
あたしが、明らかに無理やり説明を終わらせると、
ユウは小さく息を吐き、ゼロスの正面に回り込んだ。
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