部屋にはトイレや風呂も付いているらしく、ホテルを彷彿とさせた。
「おや、どうしたんです?」
イスに座って俯いた向いたままのユウに面白そうに聞く。
‥そりゃそーですよ
目の前にいる人物が中身はゼロスでも見た目は自分なんだから
自分と一緒にいるってすっごく気持ち悪いわけで‥
「なんで一言もしゃべってくれないんですか」
「‥わっ」
意図を無視して後から抱きしめるように首からゼロスの腕が降りてくる。
(‥なんだ、じぶんは…)
自分の体相手に怖がってる
近付かれるだけでも、触れられるだけでも嫌悪感が走った。
「ちょ、ゼロス‥やだ」
そう腕を解こうとするもなかなか離れてくれない。
「僕の体なんですよ?何をしようと勝手じゃないですか‥」
そう言って首に口付けをする。
「やめっ‥やなんだってば!」
なんとか振りほどくが、態勢が悪く、次は床に押し付けられる。
「何をそんなに怖がっているんです?」
そういって私の肩をグッと押し付けた。
「なかなか二人になる時間もなかったものですから…」
そして私の顔でニッコリ笑う。
駄目だ
やっぱりなんだか気持ち悪い
そう思ったらますます目の前の顔が見れなくなってしまった。
「怖いじゃなくて、なんか‥」
‥‥気持ち悪いの‥‥
そう告げた。
恐る恐る彼の方に視線を向けると、驚いた顔をしていたが、すぐに笑顔に戻る。
するとどこから取り出したのか、私の視界を覆うように目隠しをした。
「これなら見えないでしょう?」
その手際の良さに若干驚いたが、今はそれどころではない。
「…そ、そもそも。ゼロスは何をする気なんでしょう‥私に」
クスっと笑ったかと思えば、耳元に近付き、ゆっくりと囁いた。
「想像通りの事ですよ」
そして触れるだけのキスをした。
「自分を襲うというのも、変な気分ですね」
(あのね‥‥)
気色悪いですよ、とは言えなかった。
やたら楽しそうなゼロスはまるで子供。
なんか目隠しされててなんだけど、だんだん恐怖心がなくなってきてしまった。
子供を相手にしている、と考えてしまった以外に違和感を感じてしまったからだろうか。
自分の体だと分からなかったけど、ゼロスの体になって初めて分かった
彼の体は、
あまりにも冷た過ぎた
体に温もりを感じない
指先もただ冷たいだけ
「僕も人間の体になるのはこれから一生かかっても無理でしょうから、」
ユウの頬に手を添えて、そのまま唇をなぞる。
「色々と記憶しておきたいんです」
そのなぞる手が首筋へと移動して、そのまま止まった。
「僕ってこんなに冷たいんですね」
そう彼から言われた時、思わず抱きしめてしまっていた。
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