「どうした、リナっ!!」
異変を感じたのか目覚めたガウリイと、
続いてゼルとアメリアも駆け寄ってくる。
そして、ユウに気付くと訝しげに眉をひそめた。
「ユウさん?」
「何があった?」
「……分からないわ」
アメリアとゼルの問い掛けに、あたしは首を振って答えた。
ユウからは、視線を外さぬそのままで。
「リナさん、それ、もしかして……」
アメリアが示すその先は、スッパリと切れ目が入ったあたしのマント。
短刀を手にしたユウと、マントの切れ目を交互に見るアメリアに、あたしは小さく頷いた。
すなわち、ユウによって切られたのだと認めたのだ。
「どうしちゃったんですか!? ユウさん!?」
「まさか……リナにいいように使われるのが嫌になって、ついにキレたか」
「気持ちはわかるけど、そんなの今更だろ?」
「ンなわけあるかぁぁぁっ!!」
あたしの手にしたスリッパが、スパコーン! と小気味の良い音を響かせる。
代表で殴られたガウリイが、不満そーに「なんで俺だけ……」とかボヤいているが、それは無視!
実際、そんな漫才をやっている場合ではない。
あたしは再び、目の前の『ユウ』へと目を向けた。
「おかしなヤツらだな」
喉を鳴らすような、耳障りな笑い声。
いまだかつて、ユウがこんな笑い方をしているのを見たことはなかった。
「あんた、誰?」
「正真正銘、ユウですよ? この体は……ね」
ニヤリと笑うその顔が、日頃の彼女とあまりに違い嫌悪感が湧いてくる。
操られている。
その事実に、あたしは奥歯を噛みしめた。
「どうやらあの短刀に、厄介な呪いがかけられていたようですね」
苦虫を噛み潰したような顔でゼロスが言った。
コイツにしては珍しく感情を顔に出しているが、
それだけ厄介な相手だということなんだろうか?
「…と言っても、術者はとうの昔に亡くなっています。しぶとく残った呪いが、様々な人間の負の感情と同調・吸収を繰り返し、自我を持つまでに成長した、といったところですか」
「ほぅ、よくわかったな」
目を細め笑みを浮かべる『ユウ』に、ゼロスは肩を竦ませて見せた。
「まぁ、珍しい現象ですが、稀に見かける事もありますからね」
言外に『大したことではない』と告げるゼロスは、いつもの彼に戻っていた。
ニコニコ笑顔に、のんびりした口調。
しかし、
その全身からは、ピリピリとした何かが放たれている。
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