篭る熱

数日後私たちは海へと向かった。そしてその日の別れる前に、夏祭りがあるらしいからと次の約束をして別れた。そしてまた次、また次と約束が増えてゆき私の夏休み後半のスケジュールは空条くんとの約束で埋まりつつある。ホリィさんが私と喋りたがってるからまた家に来いだとか、詳しくは言えないがちょっと危ない橋を渡ったりと私は間違いなく夏休みを満喫していた。




空条くんの隣が心地良いとか落ち着くとかは度々思っていたが、最近さらに思うのは互いの考えていることが分かりやすいということだ。これが好き、こうしたいと彼の考えていることがなんとなく分かるのだ。まるで、数年来の友達のような。そう伝えると「何を今更」と返ってきたから、今更なことだったらしい。

「これからどうしようか?」

聞きながら私は空条くんからアイスを半分受け取った。水色のソーダ。半分に割れるやつ。今日も少し遠出をしてきたが、私が暑さにやられてしまい日陰に座って休憩をしていた。暑過ぎてなんとなく白けてしまう。あぁ、口の中のアイスが冷たくて気持ちいい。

「……帰るか」
「んー、今日は流石に……そうしようか」

せっかくアイスで涼しくなったのに蝉の鳴き声にそれを掻き消された気がして、暑い。座っている石段も日陰にあるはずなのに熱を帯びている。

食べるのが早い空条くんは残ったアイスの棒をぼんやりと眺めていた。どうやら私が食べ終わるのを待ってくれているらしい。大きく一口を齧る。冷たい。頭がキーンとする。痛い。痛い頭でふと思いついた。

「あー…………、うち来る?」
「……なんだ唐突に」
「暑いし。麦茶くらい出せるし。いつも招いてもらってるから……あとゲームしよ。対戦のやつ……」

このまま帰るのは惜しいと思った。そう伝えるには何かが喉をつっかえて、言えない。もどかしくて、私はその何かをアイスと一緒に飲み込んだ。あぁ、食べ終わってしまった。ハズレと書かれた棒を見つめて俯く。暑くて、顔が熱くて仕方が無いのだ。
隣で空条くんの立ち上がった気配がする。

「行くぞ」
「ん……、帰る?」
「赤木の家に行くんじゃあねぇのか」

顔を上げ、空条くんの方を見る。珍しくその無表情からは、何も読み取れない。あれ。最近は分かるようになったつもりだったのにな。なんだか悔しいなぁ。

私も立ち上がろうとするが、暑さのあまり身体がへばってしまったのだろうか。なかなか立ち上がることができない。空条くんはそんな私の腕を引っ張って立たせてくれた。そして呆れ気味に言う。

「次からは帽子を被ってくるんだな」
「ん、ありがと。空条くんの学帽みたいなイカしたやつがあればいいのだけれど」

腕を掴んでいる手はそのまま下に降りて私の手と繋がれる。空条くんが歩き出すと当然私もグンと引っ張られて歩くことになる。

「……暑いね」
「……あぁ」

熱い。繋がれた手が熱いのは夏のせいだけではないことを、私はどこかぼんやりした頭の隅で理解していた。