夏の終わりにまつわる閑話

カレンダーの日付を確認すれば8月の下旬。明日から新学期である。

「やっばいね〜もう夏休み終わっちゃうよ」

リビングのソファに座り明日の持ち物や課題の漏れがないか確認しながら思わず声を漏らす。テレビの方に目をやると、空条くんは自分で持ち込んだゲームを黙々とやり込んでいた。傍らにはコーラと2人でちょくちょくつまんだお菓子。うーん見事なくつろぎっぷり。

空条くんを初めて家に招いたあの日。我が家のリビングにある、所謂オーバーテクノロジーに該当する電化製品の数々を彼が初めて見たときはどうやって誤魔化そうと焦ったものの、彼から特に追求はなかった。誤魔化されてくれた、のだろう。

空条くんが我が家を溜まり場として使う代わりと言っては何だが、私も空条家にはよくお世話になっている。ホリィさんが度々食事に誘ってくれるようになったのだ。現在一人暮らしということもありそのお誘いは有難く、素直に甘えることにしている。ホリィさんと空条くんと囲う食卓は居心地が良かった。「夏だけどお鍋パーティしちゃいま〜す、イェイ!」というホリィさんの思い付きで3人で鍋をつつくこともあったなぁ。……空条くんのガールフレンドだという誤解はいまだに解けていない。

ゲームがひと段落したのか、空条くんが私の隣に腰掛ける。彼の横顔を見ていると夏の思い出が頭を過る。

「……色んなことしたねぇ。水族館行って、海にも行って、お祭り行って……あ、花火もしたね」
「てめーがネズミ花火にビビって盛大に転んだヤツか」
「ネズミ花火初めてだったんだもの。空条くんもホリィさんも笑ってるし、転んだのに私もおかしくなっちゃって……」
「…………フッ」
「また笑った!酷いなぁ……」

静かに思い出し笑いをする空条くんに釣られて私も笑う。彼と過ごす夏は、思い返せばよく笑う夏だった。

「……、ねぇ空条くん」
「何だ」
「空条くんはこの夏、楽しかった?」

ふと気になって聞いてみる。すると空条くんは少し口角を上げニヤリと笑うのだ。

「悪くはなかったな」

こういう場合の空条くんの悪くない、は良かった、と同義なのだ。

「私も!すっごい楽しかった!」

同じ気持ちだったことが嬉しくなった私はついはしゃいでしまい、いつものようにウットーしいと空条くんに怒られてしまう。

彼とのいつもがもっと続けばいい。そんな馬鹿げたことをついつい、願ってしまう。