二学期が始まりそこそこ経ったある日。今日のLHRは文化祭の出し物決めについてだった。
私の右隣の席に目をやるけれどそこは空席で、──二学期に入って行われた席替えでも何の因果か、空条くんとまた近くの席になった─彼は文化祭に関してノータッチのつもりらしい。体育祭は出てたのになぁ。もしかしたら当日もサボるのかもしれない。一緒に回れるかもと期待していたのに残念だ。
ぼんやり話し合いを聞き流しているとどうやら出し物は綿菓子で決定したらしく、シフト決めの話になっていた。2日間、三部制のシフト。正直どこでもいい。そう思ったのでさっさと自分の希望シフトを黒板に書きに行く。よく話しかけてくれる女子が多いところにしよう。
そして私の希望はすんなり通り、最後は欠席者のシフト振り分けだけとなった。空条くんのシフトの話になり、教室は少し賑やかになる。
「え〜ッあたしJOJOと同じところがいい!」「ジャンケン!ジャンケンに勝ったらJOJOと同じ班になれるようにしましょ!」「くじ引きの方が公平じゃない!?」
本人を他所にヒートアップする女子の様子を眺め、小さく溜息を吐く。多分来ないと思うよ、なんて言うのはあまりにも野暮だった。
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文化祭当日までの間に何度か空条くんに来ないのかと尋ねても「メンドーくせえ」の一言で一蹴されてしまった。彼は準備などもサボってしまうので、準備期間の間は代わりにクラスメイトとの会話の頻度が増える。夏の間はずっと一緒にいたのであまり顔を合わさない日が続くと妙に落ち着かない。まぁ、彼の家を訪ねれば会えるのだろうけれど。準備は放課後夜遅くまでやることも多く、そんな時間に急に訪ねるのも迷惑になるのでやめておいた。
たまに屋上に行って空条くんに会い、彼が教室にいるときは教室で過ごす、みたいな日々が続くままついに文化祭当日に突入してしまった。
1日目は一度屋上に顔を出したがやっぱり彼はいなくて。諦めて大人しく他の女子と校内を回った。クラスの出し物である綿菓子も盛況でそれなりに忙しかったこともありその日は疲れてしまい帰ってすぐ眠りについた。
そして本日2日目。自分の担当シフトが終わり、息を吐く。時計を見ればお昼時で、どうしたものかな。昨日にある程度校内を回ったのでお昼を買って屋上でダラダラするのもアリかもしれない。そう考えながら賑わう廊下を歩いていると、
「赤木さん!」
急に声を掛けられた。振り返ると沢田くんが立っていた。どこかソワソワとしていて落ち着かない様子だ。
「お疲れ様!今から暇だよね?」
「おつかれ〜。あー、暇だけど……何かな?」
暇と断定してくるの、タチが悪くないか?けれど実際暇なのでそう頷いた。……正直、彼が何を言いたいのかは判っている。きっと文化祭を一緒に回るお誘いをされるのだろう。
「俺と文化祭回んない?お昼まだだよね?5組の出してる焼きそばめっちゃ美味しいらしくてさぁ」
ほらきた。予想通りのお誘いに、うーんと少し頭を悩ませる。沢田くんかぁ……。…………暇なのは暇なんだよね、今日は暇つぶし用の小説も持ってきてないし。たまには、いいかな。空条くんもいないし。気まぐれってことで。よし。
「いいよ」
悩むこと5秒。そう返事をすれば沢田くんはあまりにも大袈裟に喜ぶものだから、すぐにちょっとだけ後悔した。