私はあれからサボり癖がついてしまったようで。それでも勉強の貯金は1年分あるし、まぁいいかという感じである。流石に出席日数が危うくなったら真面目に出ようと思うけど。
サボりの場所はあれから屋上にしている。
ずっとサボり場所を探していて分かったことが1つあって、不良が多いこの学校には誰かしらの所謂"シマ"が多く存在するのだ。縄張りに近づけば絡まれるはカツアゲされかけるわで散々だった。けどここの屋上を占領してるらしい空条くんは何も言わないし、喧嘩が強いと噂が広まっている彼には誰も近づかないから絡まれたりもしない。
小説からふと顔を上げ、彼の顔を盗み見る。
「(……確かにかっこいい、よね。女子からの人気もすごいし。喋ったことないけど)」
更に判明したことが1つ。どうやら私は彼と同じクラスらしい。もう5月半ばなのに何故知らなかったって、いやだって空条くん教室で見たことないし。思えば新しい学年になってから一度も授業に出ていないんじゃ……?授業単位とか気にならないのかな。彼は私のちょっとした心配もよそに今日も屋上の私の前で煙草をふかしている。
読みかけの小説はちょうどクライマックスの良いところだ。良いところ、なんだけど……。眠い。すごく、眠い。屋上はポカポカと日が当たって暖かい。まだ少し風は肌寒いが今のところ気にならない。寧ろ心地よいくらいだ。最高のお昼寝日和だと私は思った。小説は確かに気になる、けど睡魔には勝てなかったよーー……。ここで私の視界は暗転した。ぐぅ。
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起きてまず違和感を感じた。鼻腔から伝わる煙草の香り、私に何かが被せられている。少し息苦しくてもがけばそれは学ランの上着だった。この改造が施された学ランの持ち主なんて1人しかいないだろう。視線をあげれば空条くんはいつの間にか私の前にいて、そして私の読みかけの小説を読んでいた。あの、それ私のなんですが。彼も私に気がついたのか目が合った。
「これ、空条くんが?」
「……寒い寒いとうるさかったからな」
「嘘、ヤダ。寝言言ってた?」
返事はなかったが、言ってたんだろう。でなきゃかけてくれるはずがない。うわあ、恥ずかしい。
そう言えば空条くんと会話するのは初めてだなぁ。私にジョジョを勧めてくれた(押し付けたとも言う)友達からすればこれは発狂ものだろう。彼女は空条くんとカキョーイン?くんが好きらしかったから。……折角だから、ともう少し会話を続けてみる。私は小説を指して言う。
「それ、面白いでしょ?最近出たやつなんだけどさ」
「……そうだな」
返事がきた。無視されるかもしれないと思ってたからちょっと嬉しい。
「私今ちょうど良いところでね!この時間中に読んじゃおうと、」
キーンコーンカーンコーン……
「えええ……チャイム鳴っちゃった」
つまり、私はもう次の授業に出なくてはならない。まだ読破できてないのに!
「どうしようあと少しなのに。う〜……サボる、いやでも……」
「うるせぇ」
「あ、う、ごめん……うぐぐ」
独り言にしては大きな声で喋っていると空条くんに睨まれた。それでもまだ黙らない私に見兼ねたのかさらにため息をつかれた。だって!
「うじうじ悩むくらいなら読めば良いじゃねーか。ウットーしいぜ」
「……そう、かなぁ。うん」
そうだよね!そう頷いて私は結局空条くんの一言が後押しで2時間連続でサボることにした。彼と本と学ランを交換して続きのページを開く。……さっき空条くんも面白いって言ってたし読み終わったら貸してあげようかな。