決め事

梅雨も過ぎ去り6月末。1学期の学校行事は残すところ体育祭と期末テストだけとなった。

「空条くん体育祭出るの?」
「さあな」

空条くんとやり取りが成立してるのかしていないのか分からない会話をするLHRの時間。体育祭の種目決めをしていた。

「さあなって……。フケるつもりなら予め代わりの人頼んどいた方がいいよ」
「赤木が代わりに出ればいい」
「いやいやいや。嫌だよ。私は綱引きでじゅーぶん」

っていうか結局フケる気満々だね。そんな会話を前後の席でしている私たちを、梅雨のあの時のように騒ぐ人や冷やかす人はもういなかった。空条くんのあの一喝!が効いて触れないでおこう、と思われたのか、それでもしつこく聞いてくる人には必死の説明でなんとか理解してもらった。

私は空条くんファンクラブを敵に回すことにはならなかったし、空条くんも、私みたいな平凡奴が友達ということが近寄り難さを緩和させたのかクラスの男子と喋っているところを見かけることが増えた。私たちは最近クラスに馴染みつつある。

「赤木さん他に何もでないのー?」
「運動得意じゃないからなぁ……。私足も遅いし」
「二人三脚出てくれない?足の速さ関係ないよ!」

声をかけられて黒板を見れば他の競技は名前が埋まってるのに二人三脚のところだけスカスカだった。聞けば1つしか競技に参加してない子に二人三脚に出てもらおうという話らしい。ここで断ると非難を浴びそうだなぁ……。

「うん。いいよ」

私はそれが嫌だったので二つ返事で了承した。黒板に赤木、と私の名前が書かれた。あと1人いれば全てが埋まる。するとガタッと誰かが勢い良く席を立った音が私の後ろの方でした。見れば空条くんより1つ後ろの右隣にいる男子生徒が元気よく手を挙げている。

「はい!俺二人三脚出てもいいよ!」
「え……でも沢田くんもう2種目決まって、」
「いーよいーよ!誰もやんないし、どうせ誰かやらなきゃなんだろ?俺がいくよ」
「本当?ありがと〜!」

沢田くん、というらしい彼が何故か誇らしげにピースを作るとクラス中が拍手に包まれた。最後の決断をしてくれた彼に感謝と早く話し合いが終わったラッキー、という拍手だろう。

「赤木さん!一緒に頑張ろうな」
「うん、よろしくね」
「早速放課後練習とかやっちゃう!?」
「沢田どんだけ張り切ってんだよ!」

彼はどうやらクラスのムードメイカーらしく彼が面白い発言をする度笑いが起こる。……ぶっちゃけると、見てる分には楽しい人物だが関わるのはちょっとご遠慮したいタイプの人物だった。しかし沢田くんは放課後の練習を本気でするつもりらしく、暫く彼と一緒に行動する日が続きそうだ。

「……空条くん」

こっそり後ろの空条くんに話しかける。

「二人三脚かわっ」
「やれやれだぜ」
「誤魔化さないでよ!?ねぇ〜空条くんんん」
「うっとおしい」

それでも諦めないで頼み込んでいるとしつこかったのかはたかれた。小突く、というには力が強いからはたく、であってると思う。

「絶対空条くんがフケても私代わりに出てあげないから……!」

悲痛な私の悲鳴も空条くんは素知らぬ顔で流すのであった。解せない。