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「なまえ〜!帰ろうぜ!家どこら辺!?マック寄ってく!?」
「えぇ、加藤の奢りなら行くけど」
「ヤダ!でも行こう!」
なぁなぁとしつこく食い下がる馬鹿こと加藤とあたしは結構気が合うらしい。昼休みに一緒にご飯を食べてから判明したことだ。裏表のない馬鹿の加藤とは喋っていて疲れない、気が楽、話してて楽しい。……人を宇宙人呼ばわりしたどこかの誰かとは大違いだ。
余りにもジロジロ見てくるから聞いてやったのだ。すると返ってきたのは思ってたのとは違う答えで吃驚したのである。僕らの中に入ってくんじゃねーよ、とかもっと拒絶されることを想像していたのにトンチンカンな答えが返ってきたのだ。不思議クンかよ。お互い様と言われればお互い様なのだけれど。しかしあの会話から何となく黒木クンが苦手になってしまったかもしれない。
とにかくそんな感じで宇宙人ばっかかよ、なんて思っていたクラスの人達も喋ってみればちゃんと人間で、加藤みたいな馬鹿もいて。歩み寄れば完全に溶け込むことができる日も近いのかもしれないという淡い期待を抱いた。
「奢り!??今奢りって言ったか!!??」
「あああもう奢らないってば!きり丸は奢りとかタダに過剰反応するから気をつけるように。これ3組の常識な!」
至近距離に寄ってくる摂津を押し除けながら加藤は叫ぶ。摂津は貧乏学生らしく、どケチでお金稼ぎのアルバイトに必死なのだそうだ。みんな苦労してんだなぁ。
「きり丸は来る?奢りじゃないけど。他の奴もどう?」
「奢りじゃないなら行かない!ってかバイトあるし」
「ボクは行くー!お腹すいたぁー!」
「じゃあ私もー!」
いやあたし行くって返事してねぇけど。そう思ったが遅くわいわい人が増え話が増えていくので諦めてあたしも行くことにした。
「僕も行っていいかな?みょうじさん」
……だから黒木クンがそう言ってきても今更NOとは言えないのである。
▽▽
結局マックに来たのは加藤、福富、猪名寺、笹山、夢前、二郭、黒木クン、あたしと大所帯になってしまった。ポテトSサイズとアイスティを注文して席に向かう。やっぱりこっちのマックはサイズが小さいなぁ。そうしてポテトを摘みながらみんなとたわいもない会話をしているとふと思い出したように猪名寺が聞いてきた。
「そう言えばなまえちゃんは何委員会にするか決めたの?」
「委員会?」
「大川は委員会は強制なんだよね。聞いてない?」
思えば土井先生から聞いた気がする。完全に忘れていた。
「や、決めてないなぁ。みんなは何委員会なの?」
「私は保健委員!三治郎が生物で団蔵が会計でしょ。あと兵太夫が作法委員会、」
「作法?」
聞き慣れない言葉に首を傾げると笹山から「違うよ、風紀でしょ」と訂正が入る。猪名寺はまた間違えちゃった!と恥ずかしそうにはにかんだ。その後聞いたみんなの委員会に作法委員会という名前の委員会はなかったし……作法と風紀って単語をどう間違えるんだ?小さな引っ掛かりを残しつつあたしは思ったことを口にする。
「ってか加藤が会計って大丈夫なわけ……?」
「何だよ!ちゃんと算盤だって出来るんだからな!!」
「何で今時算盤なんだよ文明の利器を使いこなせよ」
「ってか団蔵は計算より字の汚さの方が問題だよねぇ」
「わああああ!何で三ちゃん言っちゃうんだよ!!」
撃沈する加藤を笑いつつどの委員会にしようか考える。福富と村山が所属してるらしい行事実行委員会は結構楽しそうだなぁ。けど、村山かー……。あいつも中々の宇宙人だなぁ。人で選ぶわけではないけど委員同士の関わりも増えるだろうしあたしにはまだハードルが高い。と、なると残りは。
「保健、かなぁ。うん。保健にする」
「本当に!?」
わあ!嬉しい!なんて笑う猪名寺を不覚にも可愛いと感じてしまう。こいつも素直な奴だなぁ。
「何で?僕のとこにしなよ」
「いやいや黒木クン学級委員会は委員長しか無理なやつでしょ」
真顔で聞いてくんじゃねぇよ……。黒木クンは妙に突っかかってくるから困ってしまう。
「でも何で保健?生物委員会楽しいよー?」
「動物の世話とかあんま向いてないから……。いやね、今お世話になってる叔父さんが昔保健委員だったっぽいからそれで何となく」
厳密には違った気がするけど、大体そんな感じだ。友達の保健委員の子と保健室でずっと駄弁ってたらしいからつまりは叔父さんも保健委員だったんだろう。ほへーとみんな納得したようなしてないような返事をする。
委員会のこともそうだが、色んな話を聞くうちにこの大川学園には謎の文化が根強い気がしてきた。変わった行事も多いらしい。さっきの作法委員会とやらも。こういうのが学園長の言ってた「昔」に関係する部分なのかな。習わし的な。うーん、分からん。
考えながら口に含んだポテトはすっかり萎びていた。
黄色いM