08


高校に入って初めての練習試合対烏野戦は黒星で幕を閉じた。

影山が、中学の頃よりも周りを見ていて少し、ホッとした。多分、嬉しかったんだと思う。
金田一、国見の前では、あまり影山の名前を出して来なかったけど、今日の帰り道はきっと影山の話をするんだろうなぁと考えいるといつも通り岩泉さんが「金田一、国見、花篭を頼むぞ」の言葉に返事をして、並んで歩くが、二人とも少し不機嫌そう?混乱しているのが伝わった。

無理もないか…。三年間同じチームだったから悔しいとかムカつくとか、それぞれ思っている事は違うよね。
学校から離れた途端に「そろそろ、言えよ」と金田一が声をあげた。


「金田一、煩い。近所迷惑」
「お前、そればっかりだろ!片付けしろとか、時と場所を考えて、とか言って言わねぇじゃん!」
「部室とか、絶対いやだ」
「だったら今ならと思って待ってたのに全然言わねぇからだろう」


二人が、何の話をしているから全く理解出来ない…「何があったの?二人とも。金田一は、落ち着いて?」と深追いしない程度に道路側歩いてくれている金田一に向き合うように体制を変えた。
すると、後ろから首に腕を回されて、引き寄せられた。

ナニシテルノ、クニミ…?。


と言う前に私の頭の上に、顎を乗せて「…こうゆう事」と言った。

「…えっ!?」と驚いた私の声と重ねって金田一は「本当なのか、花篭?」と問われた。
でも、ごめん、金田一。私は、この現状を整理するだけで頭がいっぱいでついていけないので、まともに返事をしないままでいると、首に回されていた腕の片方が私の手を取り、金田一に見える高さで指を絡めた。

「これで、わかった?」
「…本当なんだよな?」.
「俺が冗談ですると思う?」
「…っ思わない」

そうゆう事だから、と言ってた止まっていた足を進めて歩く国見と、手はまだ繋がれたまま。金田一は「あー、気づかなかったわ」なんて、歩き始めて、私だけが置いてきぼり。止まったままでいる私に気付いたのは、手を繋いでいた国見だった。「何やってるの?いくよ」と振り返った。

「……良かった、の?」
「金田一しか言ってないからいい」
「…わかった」
「うん」
「手は、辞めよう」

学校から離れたけど、学校名を背中に書かれているジャージで、並んで歩いているんだから金田一以外の誰かに見られたら国見が…後から大変じゃん、と言おうと国見の顔を覗くと、お昼休みにみた時のように、あからさまにムスッとした顔をしていた。

国見って意外と顔にでるんだよね、なんて言葉に出来ないけど…すると、繋いでいた手をギュッと力強く握られた。


「…また、どっかの誰かが、ゆりは影山が好きって言いふらしてもいいの?」

どっかの誰かって誰ですか、私は影山を好きになった事はないんですけど…と色々聞いていいかな?と言う前に、国見の肩越しに顔の前で両手を合わせている金田一が見えた。

あぁ、そうゆうことか。

中学から一緒で、部内が荒れている時も金田一は、国見の側にいたからお互いが許しあっているのに、気付いてもらえなかった事が嫌だったんだ。お昼休みも、今もムキになっているのは、勘違いしてて欲しくないという国見からの金田一への信頼なのかな?なんて、考えていると思わず笑みが零れた。

「…なに?」
「なんか、二人が可愛かったから、ふふふっ」
「…可愛いのは、ゆりでしょ」
「国見、耳真っ赤だよ」
「…っ!もう、いくよ」

と、足を動かし、また三人で並んで家路を進んだ。金田一の隣に国見。そして、手を繋がれて国見の隣を歩いた。


繋がれたまま帰ってた翌日も、翌々日も、部活内で話題上がらなかった。本当に金田一にしかバレていないみたいだ。 

練習試合から終えて数日が経つと少しだけ金田一が気を使うようになった。授業後いつも国見を一人で迎えに行っていたのに「一緒にいくか?」とか、部活中、国見が高柳先輩からタオルを受け取っているのを見つけて「…あれはいいのか?」って逐一報告をくれた。

「金田一、煩い」

逐一報告は嬉しいけど、部活に集中して、と少し強めに言うと「いや、だって、お前らそうゆうに見えないじゃん!だから、ちょっと心配というか…」とだんだんと声が小さくなっていた。私と肩を並べると二十センチ以上背の高い金田一が夢見る乙女に見えた。

「心配してくれて、ありがとう。でも、大丈夫だよ」

と言って、金田一にドリンクを渡すと「そうゆうもの、なのか?」と不思議そうに、聞いてからドリンクボトルに口をつけた。

他の恋愛を知らない。付き合うのだって、初めてだからそうゆうものなのか、と聞かれて、そうだよ!なんて返す事も出来ない。

「他の人は、分かんない。全く喋れなかった時よりはそうゆう感じになれてると思う、よ?」
「…あの時から、なのか?!」
「付き合ったのは最近。でも、好きだと思ったのは中一の夏頃かな」

と言うと金田一は最大にむせた。
わかりやすく驚いてくれた。あ、でも、これ、国見には言ってない話だった…だから、金田一に「国見には内緒にして」と言うとむせ込んで、顔を赤くなりながらも「…なんで、言わねぇの?」と聞かれた。そんなの答えは一つ。

「…っ、…は、ずかしいんだもん!」
「ぶっは、花篭の、そんな顔、初めてみた」
「笑わないで!絶対言わないでよ」
「あーぁ、わかった、わかった」

適当すぎない?なんて、金田一と話していると休憩が終わり、ボトルとタオルを受け取り金田一を見送った。

そして、帰り道。二人してジト目の国見に質問責めに合うなんてこの時は考えもしてなかった。


昨日の帰り道に続き、朝から少し不機嫌な国見は、朝練習中、珍しく国見が突き指をした。

もちろんスタメンの国見の怪我の手当てをするのは高柳先輩だから、私は、気になりつつもスコアブックを視線を落とすと「花篭、テーピング頼んでいい?」と目の前にビブスを着て、額には一滴の汗を垂らしている国見が現れた。

「た、高柳先輩は?」
「花篭の巻き方がいい」