月島蛍は動揺する





待て待て待て。
どうして教室で寝てるんだ。

なんて無防備な寝顔を晒してるんだ、しかも僕の席の方に顔向けて。教室もう結構騒がしいんだけど。なんで起きないの?なんなの?ていうか、僕はどうしてそんなことで動揺してるんだ。

……いやだってこれ、かわ



「えっあれみすずちゃん寝てる!」

「っうるさい山口、起きるだろ」

「でも起こしてあげなきゃ授業始まっちゃうし」



それはまあ、確かにそうなんだけど。

自分の腕を枕にして、すやすやと眠っているのをまだ見ていたいと思う僕はどうしたんだ。頭がおかしくなったのか?ああ、でも山口に起こされるくらいなら僕が。



「んう…」



自分で起きた。



「あ、れ…わたし寝ちゃって……?」

「うん!すごく気持ち良さそうに寝てたよ、おはよう!」

「っ!? た、忠くん…!ね、寝顔みた?」

「うん見た」

「ひえ……蛍くんも、?」



恥ずかしそうに聞いてくる顔を見てると、加虐心が擽られてしまうわけで。



「よっぽど眠たかったの?よだれ垂らしてたよ」

「う、うそ!やだ、はずかしい…!」

「ウソ」

「〜〜っ、蛍くん!!!」



子供みたいに頬を膨らませて怒ってくる。

ああ、これはあれか…小動物に抱く感情と同じやつか。あの、あまりにも綺麗なプレーに勝手に神崎みすずと言う人物を結び付けていたから、動揺しただけか。



「夜更かししたら身長伸びないよ?」

「蛍くんが大きすぎるだけデス、私は平均デス」

「ツッキーは188cmだもんね!」

「だからなんで山口が得意げなの」

「あ、そうだ土曜日!私も観に行くから頑張ってね、お二人さん」



にこ、となんか楽しそうに笑った。

ふーん…別に、あの2人が勝とうがどうなろうが、僕には関係ないことだけど。…観に来るんだ。



「顔に服の跡つけながら言われてもね」

「あ、またウソなんでしょ」

「ザンネン、今度は本当だよ」

「え゛っ、わ、サイアク……!」

「みすずちゃん…大丈夫、ついてないよ」

「んもーーー!!蛍くんっ!!!」

「フッ」




月島蛍は動揺する


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