ようこそ烏野高校排球部へ!






なんか、凄いことが起きている。

飛雄くんを信じて、目をつぶってスパイクに跳ぶ翔陽くん。
そしてその翔陽くんのスイングにあわせて超精密なトスをあげる飛雄くん。


何度も失敗はあったものの、息が合って来るとそのとんでもない速攻が次々と決まる様になり、警戒された翔陽くんが今度はおとりになることで、田中センパイもフリーで打てることが多くなった。うん、田中センパイのスパイクもすごくパワフルだ!

開いていた点差は、いつの間にか埋まり1セット目は飛雄くんたちのチームが取った。



「はい!お疲れさま」

「おい」

「えっ」



ドリンクを配っていると、飛雄くんにぐいっと腕を引かれた。



「…ふん。日向と、ってのが気に食わねぇけど、まぁいい。」

「? ぐえ」

「しっかり見とけ」


私の頬っぺたを鷲掴みながら、なんだか満足そうに笑っていらっしゃる。

言われなくともちゃんと見てますけど。
……まあでも、こんな楽しそうな顔、久しぶりに見たなぁ。ふへへ、とそのまま笑うと気持ち悪いって言われてしまった。失礼なヤツめ。



「ちょっと、僕もドリンク欲しいんだけど」

「ふあ、ごめ…飛雄く、離して」

「あ?いま俺が話してんだろうが」

「独り占めしないでくれるかな?王様」

「(頼むから仲良くして)」



頭上で謎に火花を散らされても…。

言っとくけど君たちも結局は同じチームになる予定なんですけど、わかってますか?自覚ありますか?もう、なんていうか…一筋縄じゃあいかなそうなチームだなぁ、烏野は。



「……問題児しかいない」

「「誰がだ!」」

「もーお、うるさい!」

「「んぬっ」」



2人の顔面に向かってタオルを投げ付けた。



「やっぱり神崎さんが言うと大人しくなるんだよなあ」

「あれは将来有望だな」

「なんとしてもマネージャーになってもらいたい」

「「(清水が本気だ…!)」」



第2セット目、最初こそどちらも点を取り合っていたが20点代に乗ると流れは完全に飛雄くん、翔陽くんチームになっていた。

それでも蛍くんたちも諦めることは無かった。途中、預かっといて、と蛍くんのトレーナーが頭上に降って来るもんだから、間違えてデータを消しそうになった。

クールな感じに見えても、きっと負けず嫌いなんだなあ。そう思うとなんだか全ての言動が可愛く思えて来た。



「がんばれーっ!!」


それは特定の誰かに向けたものではなかったけれど、きっと届いたと思う。

そして、試合終了の笛が響いた。
勝ったのは、飛雄くん翔陽くんチームだった。



「楽しそうだったね」

「潔子センパイ……!はい、わたし烏野に来て良かったです!あの2人の速攻や蛍くんのブロックはこれから武器になると思いますが、2.3年生の先輩方の圧倒的なポテンシャルがもう……!きっと烏野はすごいチームになりますね…!」

「!」

「神崎さんさ、ほんとにマネージャーやんないの?」

「澤村センパイ、」

「ファンだから、とか関係なく、すごく戦力になると思ってるんだけどな、俺は」



わたしに目線を合わせるようにしゃがんでくれたその表情は、なんていうか優しい夕暮れみたいで。

ふと、隣からの視線も感じてそちらを向くと、潔子センパイも優しく微笑んでくれていた。

菅原センパイから言われて、飛雄くんにも言われて、本当は私ももう決めていた。それは、今日の試合を見たからじゃない。



「「「キャプテン!」」」



いつの間にか近くにいたらしい飛雄くん、翔陽くんと声が重なる。

私も立ち上がって、記入済みの入部届けを差し出しすと、澤村センパイは全て受け取ってから潔子センパイを見て頷いた。



「アレもう届いてたよな?」

「うん」



すると、潔子センパイはどこかからダンボールを持って来た。もったいぶることもなく封を切ると、「烏野高校 排球部」と書かれた真っ黒いジャージが出た来た。


それは、あますことなく私の手にも乗せられた。



「え…私のも、?」

「清水がどうしてもって」

「…きっと入ってくれるって思ってたから」

「潔子センパイ、!」

「潔子さん…!さすがっス……!!」



潔子センパイの行動に感動しながら、袖を通して翔陽くんの隣に並んでみた。

すごい、本当に私も、バレー部の一員みたい。



「これから烏野バレー部として……せーの!」

「「「「よろしく!」」」」



そっか、みたいじゃなくて、私も一員なんだっ。



「(えへへ、そわそわするけど、なんか嬉しいっ)」

「「(かわいい)」」

「天使ちゃんが……なんか笑っとる……!!」

「神崎さんも色々ありがとうね」

「あ、あの…もし良かったら名前の方で呼んで頂けませんか?名字で呼ばれるのが、苦手で」

「えっ、別にいいけど…みすず、だっけ」

「はい、大地センパイ!お礼されるようなことは何も……!これからよろしくお願いします!」

「みすず!さっきのデータ教えてくれ!感覚がある内にひなたと合わせたい」

「はいはーい」



タブレットを手に取ると、飛雄に呼ばれるままコートに戻っていくみすず。



「なんか……いいな、センパイって」

「澤村気持ち悪い」

「いや、清水だって潔子センパイって言われてニヤニヤしてたでしょーが!」

「してません」




ようこそ烏野高校排球部へ!


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