狙え!後頭部サーブ






「っくく…ふふ、ふはっ、…」

「みすずボケェーッ!!いつまで笑ってんだボケッ!!!」

「だっ、だって……ひーっお腹いたい!」



第1セット、翔陽くんのサーブが飛雄くんの後頭部に見事クリーンヒットして、烏野はセットを落とした。

それがあまりにも面白すぎて、私はさっきから笑いが止まらない。タブレットにも「サーブ日向……影山の後頭部にクリーンヒットwwwwwwwww」と草を生やす手が止まらない。



「あのみすずさんコートチェンジですよ」

「は、はい、すみません……み、皆さん、お疲れ様でした…っクク」

「なんか、影山が可哀想になってきたな」

「俺もです」



すう、と深呼吸したところで段々落ち着いて来た。

烏野コートに目をやると、翔陽くんが龍センパイの前で正座している。



「おい、ナメるなよ。お前が下手くそなことなんか分かりきってることだろうが!」

「えっ…」

「分かってて入れてんだろ、大地さんは!」

「え?」



お説教、ではなくあれは龍センパイの励ましだろうなあ。

私的には翔陽くん100点満点すぎて、最高の一言に尽きます。バレーの試合見てて、あんなに笑ったの初めてだもんなあ。


「いいか、バレーボールっつうのはなあ、ネットのこっちかわにいる全員もれなく味方なんだよ!」

「あっ」

「下手くそ上等!迷惑かけろ!足を引っ張れ!それを補ってやるための、チームであり!先輩だ!」



わー!男前だー!

いつもあんなだったらきっともっとモテるだろうに!いや、そもそも潔子センパイにしか興味が無いからなのか…?



「龍センパイ格好良いですー!!わたしネットのあっちかわにいてゴメンなさーいっ」

「いぎっ…そうだった、天使ちゃん今あっちだった……!」

「田中いま格好良いって言われてたぞ」

「マジか!クソっ……それも聞き逃した、!」

「先輩風吹かした罰だな」

「良いこと言っても決まらないのが田中だな」



少しして、第2セットが始まった。

翔陽くんは後頭部サーブのおかげか、正気に戻ったようで動きが格段に良くなっている。ただ。本日初のあの速攻は空ぶってしまったようだ。



「今みたいなのちゃんと打てなきゃ、王様が怒りだすよ」

「うっ」



あれ、勇太郎くんそんなキャラだっけ。
英くんとずっといるからちょっと性格曲がっちゃったかな?



「今なんか失礼なこと考えた?」

「イエ、全然」

「日向!」

「ほらきた!」

「悪い、今のトス少し高かった」



素直に自分のミスを謝罪する飛雄くんに訝しげな表情を浮かべる勇太郎くんと英くん。

まあ、中学時代の飛雄くん見てたらそうなっても仕方ないよね。でも、飛雄くんもね、少しずつ変わり始めてるんだよ。



「得意げだなァ、みすず」

「分かります?監督」

「ニヤニヤしてるから、そりゃあな…なんかあるんだろ?」

「はい、あります!」


存分に見せちゃえ!飛雄くん!翔陽くん!




狙え!後頭部サーブ


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