影山飛雄は気付く
ああ、やっと、見られた。
日向との速攻を見たみすずの、あの顔。
一瞬だったけど、あれはみすずがずっと、及川さんに向けてたものだった。
楽しくて、嬉しそうで、きらきらしているのに、どっか怖え。期待っていうプレッシャーを、かけるんだ。でもそれがすげー心地いい。みすずが見たかったバレーが、勝利の天使が見たいバレーが、烏野で出来るんだ。
中華まんを食った帰り道、みすずの少し後ろを歩きながら今日のことを思い返していた。
「みすず」
「んー?」
「…今日どうだった」
声をかけたら坂の下商店の人と知り合いだったらしく、帰り際におまけで貰ったちゅーちゅー吸うゼリーみてえなやつをちゅーちゅー吸いながら振り返った。
…ずるいな、俺も食いたかった。
「飛雄くんってやっぱり、」
「……やっぱり?」
「最高だと思った」
「!」
なにか指摘されるのかと思ったら、全然違った。
にこにこと楽しそうに笑っているところを見ると、オーバーに言ってるわけじゃなさそうだ。たぶん。
「あんなの、普通はできない。スパイカーの、しかも目を閉じた全力スイングに的確にトスを持っていくなんて。しかもたったの1ゲームでほとんど完成させてた。ホントに、凄かった」
水を得た魚のようだった、なんてよく分からねえことを言ってるが、みすずに認められることは、バレーをしていく上でなんつーか…ずっと、必須条件って感じだった。
俺が中3の時の北一じゃあ満足させてやれなかったけど、これからも俺から目を離せないようにしてやりたい。
「だけど、それを叶えてくれるのは翔陽くんだってこと忘れないでね」
「っ、!」
自転車を押しながら前を歩く日向を見て、言い放ったその言葉にぐっと、拳を握った。
みすずは、俺と、それから日向にあの瞳を向けてる。日向とセットの、俺だ。でも、たぶん、それは
「もう今の飛雄くんならわかるよね」
「…おう」
「これからの烏野が楽しみだねっ」
いつか見たことのあるその笑顔に、また胸の奥の方がドっとした。
そうだ、みすずが好きなバレーは、たった1人のものじゃない。みすずは強い選手が、強いチームが好きだから。これで良いんだ、日向の、スパイカーたちの、道を開くセッター。
影山飛雄は気付く
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