国見英は羨ましい
「もしかして、烏野に行ったのってあの10番が理由?」
「うん、」
「はあ…あの時の試合でそこまでとはね」
隣を歩くみすずを見るとなんかちょっと申し訳なさそうな顔してる。
そう思うなら別に教えてくれたって良かったのに。
「…影山、変わったな」
「ふふ、そうでしょ」
「なんでみすずが得意げなの」
「そりゃあ、烏野のマネージャーですから」
「ふうん。……まあでも俺たちに出来なかったことを、あの10番がやってるってことだね」
「それはそうだけど、でも…」
立ち止まったみすずに、数歩遅れて止まるとぴょん、大きく一歩踏み出して俺の顔を覗き込まれた。
「飛雄くんが変わったのは英くんたちのおかげだよ」
「…なんで」
「自分以外の皆にも、ちゃんと意志があるってことが、あの時わかったんだと思う」
「意志があるって…当たり前じゃんそんなの」
「でも分からなかったんだよ、飛雄くんの中には“勝ちたい”しか無かったから。だから、ありがとう」
「なんでみすずがお礼言うんだよ、」
「私の大好きなバレーボールが、また増えたからっ」
そうやって嬉しそうに笑うみすずは、ほんとにバレー馬鹿なんだろう。
そして俺はたぶん個人としてみすずに期待されることは無い。
悔しいけど、影山は、あの天才は、ずっと期待されてた。たぶん中1の頃からだと思う。でも、それなのにアイツは気付かないで、及川さんに嫉妬して、試合はあんな自己中なプレーしか出来なくて、ずっとみすずの期待を裏切り続けてた。
でも影山は、やっとみすずの期待に応えられる相棒を見つけたんだ。
ますます、俺に勝ち目なんて無い。
「英くん」
「? っぅわ」
ばさっと目の前に白いジャージが降って来た。
「英くんのバレーボールも、その大好きに入ってるからね」
「!」
「ちゃんと自覚してくださいよ?お兄さん」
「なんなの、なんかムカつくんだけど」
「はい、怒らない怒らない」
国見英は羨ましい
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