天使は太陽に期待する
「みすずさんは、何をしているのですか?」
「あ、武田先生…!て、名前…」
「あっ、ごめん、その、苗字で呼ばれるのがあまり好きではないと聞いていたので、部活の時くらいは名前で良いかな、と…もしかして嫌だった?!」
「そんな…!嬉しいです、ありがとうございます!」
「良かった」
武田先生なんか笑うとへにゃってして可愛らしいよなあ。
私はと言うと、ボトル系の洗浄は青城で済ませたので潔子センパイと大地センパイに今日のデータをまとめてていいと言われたので、お言葉に甘えて、まとめながらみんなへ送るメールを作成していた。
それを伝えると、武田先生は目を輝かせながら許可をとって私のタブレットを覗き込んだ。
「うわぁ、ホントに細かいんだね。え、こんなところまで……よく見てますね、」
「上から見られたら、もっと細かく見られるんですけど…でもやっぱり近くで見るの良いですね」
「みすずさんは本当にバレーが好きなんだね」
「はい!」
ほのぼのしていると大地センパイが武田先生にお礼を言いに来た。
そしてどうやら、武田先生はコーチに当てがあるらしい先生が居なかったら青城とも練習試合組めてなかったし…フワフワしてるけどすごく頼りになる先生なんだなぁ。
◇◇◇
「翔陽くん」
「ん?」
帰り道、翔陽くんに声をかけると、少し止まって私に並んでくれる。
「最後のスパイク、青城のコート見えた?」
「えっ、あ、え…っ、その、影山のこと信じてないとかじゃなくてっ、なんか無意識にっていうか」
「待って落ち着いて、責めてるわけじゃないよ!」
「……うん、見えた。スローモーションみたいに」
試合を思い出しながら離す翔陽くんの表情は少し、ゾッとした。
「勝ち」に貪欲な人から、たまに感じるこの圧力。ごくりと息を呑んで、翔陽くんの言葉を待つ。
「大王様の表情、顔も目も…それに3対3やった時も、向こう側の、てっぺんからの景色が見えた」
「!」
そっか、翔陽くんは、「見える」スパイカーなんだ。
基礎がまだしっかりしていないから、すぐには、出来ないだろうけど翔陽くんが色んなことを覚え始めたら、それこそとんでもない選手になる。その変化に、進化に…飛雄くんやみんなは着いて行けるだろうか。
「翔陽くんは、立ち止まらないでね」
「えっ」
「間違ってたら、止める、でも…翔陽くんは自分が思うままに突き進んで欲しい」
「お…おすっ!」
気合いを入れて返事をする翔陽くんが可愛くて、そのふわふわの頭を撫でると、またショートしていた。
いい加減、私に慣れてほしい。
天使は太陽に期待する
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