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あの後ぶっ倒れた(フリ)をした私は、練習をズル休みして頭をフル回転させて考えに考えた。そう、推しを幸せにするまでの道のりを…!

私は現在、佐野天音として生きている。
いま満3歳。おにいちゃんの真一郎は8歳差で10歳か11歳。弟とは10個違うらしいから、推しが生まれてくるまで、あと数ヶ月、とかなのかな。え゛っ待って…推しのお姉ちゃんとして生まれ変われるって幸せすぎない?どう言うこと?わたし死ぬ?あ、死んでるのか、死んだからご褒美タイムなのかな?何にしても最高。最高オブ最高。神様ありがとう、わたし頑張ります。


とにかくこの状況だと、推しが闇堕ちするきっかけとなった1つめの事件を、回避することが出来る。事件が起きるまではあと…何年だっけ、確か東卍が出来るのが推しが中1の時だから13年後とかかぁ。となると私は高校生だなぁ…前世の記憶保ってられるのだろうか。別で何かに書き起こしておくことにしよう。そして推しが闇堕ちしないルートへ行く1番の方法は推しも、真一郎もヤンキー道にいかないことだけど、でもそれはなんか違うんだよなあ。真一郎にも、推しにも、やりたいことはやって欲しい。その中で、必要のない展開を排除していけば良いだけだ。でもこれってどの世界線なんだろう。タケミっちがタイムリープして来るのは、あと15年後の世界…?だよね。

1つめの事件を回避しても、たぶんドラケンの死とは関係が無いから、タケミっちはタイムリープして来るかも知れない。でも仮に私が何かをしたことで、ドラケンが死なない世界線になってたとしたらタケミっちはタイムリープしないってことかぁ…。でもそしたら推しと出会わないんだよね、それも何かちょっと違う様な。うーん、まあとりあえず先のことはどうにもならないから、予定だけ立てといて、臨機応変に行こう。とにかく真一郎の死だけは絶対に回避する。

これが、私の一番の目標だ。



「2003年8月13日、この日はぜったいに忘れない」





◇◇◇◇



「天音、大丈夫かー?」

「…おにいちゃん」



辿々しい話し方が落ち着かない。子供だから仕方ないけど。後それから、真一郎をおにいちゃんと呼ぶのも落ち着かない。前世の私は真一郎が亡くなった歳よりも上だったし…。心配そうに私を見る真一郎に申し訳ない気持ちになって来た。嘘ついてごめん、めっちゃ元気、わたし。寝ている私の隣に座って、額に手を乗せてくれる。うん、お熱は無いのです。すみません。て言うか真一郎もやっぱりお顔綺麗だなぁ。推しは推しだけれど、最早みんな好きだったからなぁ。てか冷静に考えてこれ何のご褒美イベント?最高なんですが。どうしよう鼻血出そう。

内心、興奮しつつ脈拍も大変なことになっていたので、熱は無いなと満足そうに離れていった真一郎に安心した。ふう、これからここに推しとエマちゃんまでやって来るのか…私13年後もちゃんと生きているだろうか、心臓発作で死にやしないだろうか。心配になって来た。



「天音、また寂しくて泣いてないか?」

「…さみしい?」

「おー、前はよく泣いてただろ」



うんん…そう、なのかなぁ。と記憶を辿ってみる。

そう言えば、真一郎と推しの母親って病死ってことは知ってるけど…どうして今も居ないんだろう。と言うか母親の記憶曖昧だなぁ。前世のお母さんの方が鮮明に思い出せる…え、あれ、もしかして…わたし佐野家の遺伝子じゃない…?ぼんやりと浮かんで来た記憶の中に、佐野家のおじいちゃんに手を引かれてこの家にやって来た記憶があった。



「おにいちゃんじゃない…だと」

「え」

「あ」



やべ、だと、とか言っちゃった。



「あ、え、と…」

「あー……まあ、本当のお兄ちゃんじゃないけど、俺はそのつもりだし」

「しんいちろ」

「…お兄ちゃんって呼んでくれねーの?」



そんな美しい顔でこてんと首傾げないで…!しかもお兄ちゃんって呼んで欲しいとか、可愛すぎかっ!はい、呼びますとも!おにいちゃん!お望みならばいくらでもお呼びしましょう!さんはい!おにいちゃーん!!!!



「すきです」

「な……!」

「(やべ、本音が)」

「かっ…かわいい……!俺も好きだぞ天音ーっ!!」

「!」



頬っぺぐりぐりされた。しぬ、小学生の男の子に頬っぺぐりぐりなんて恥ずかしすぎるわ。