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「…お世話になりました。」


退部届を渡しても、監督は何も言わなかった。

周りの部員のひそひそ声が、セッターのあの子の、ざまあみろという顔が、私の涙に拍車をかける。あぁ、人って、本当に酷い。

私が点を取れなくなったのが、飛べなくなったのが悪いのはわかっている。それでも、あの時の勝利を分かちあっていたのが、嘘だったみたいだ。信じているから、と言った言葉が、嘘だったみたいだ。本当は嘘だったのかな。


「…やめんのか」

「…うん」

「そうか」


体育館を出たら、飛雄くんが立っていた。

飛雄くんは天才セッターの卵と、県内ではかなり有名なセッターだ。最近はすこし、周りと気が合わないみたいだけど。たまに、練習を一緒にしたことがあるけど、ちょっと完璧主義なところがあるような、そんな気がする。

でも、ぜんぜん、悪い人ではないと、私は知ってる。

いまも涙でぐちゃぐちゃな私の顔を見ないように、ハンカチを渡してくれる。


「わたし、男の子だったら、よかった」

「え」

「そしたら、飛雄くんのトス打てたのに」

「べ、つに…男じゃなくても、トス上げるぞ」

「…試合でだよ」

「それは、無理だ」

「ふふ、そうだよ、無理なの。試合で飛雄くんとは、プレーできない…試合っ、試合出たかった、なぁ……」


ぽろぽろとまた涙がこぼれて、目の前の飛雄くんを困らせてしまう。