「栞を守るのは僕だ!」


 子供のように高い声を張り上げて、イヴモンはぴょこんと飛び跳ねた。真っ白な毛がふわふわと風に靡き、イヴモンの存在を示した。こんなにもイヴモンの背中は逞しかっただろうか。こんなにも大きかっただろうか。以前、一度だけ彼の背中の広さを感じたことがあった。―――それよりも前に、見た事があるような。栞はぼんやりと考えた。


(…私は、何をしてるんだろう…)


 いつも守ってもらってばかりで、何も出来なくて。
 いつも助けてもらってばかりで、傷つくデジモンを見て。

 守らなければいけないのは、自分だというのに。


「何とでもいいやがれ!…骨こん棒!」
「獅子王丸!」


―――…しゃらん。しゃらららん!


「させない…絶対に、させない!」


 ″骨こん棒″、″獅子王丸″。
 放たれた攻撃からパートナーを守るべく、再び進化の光が舞い降りた。


★ ★ ★




「進化したか…。いや、進化させたか」


 黒い渦が、ムゲンマウンテンに舞い降りた。ぼろぼろの羽は悪の象徴であるかのように、暗黒に染まる。――それは、ある一点を見つめ、小さく嗤った。手を伸ばし、ある一点に照準を合わせると、ぐっと握りしめる。


「対である“狩人”がいなければ、何も役には立たない“守人”。覚醒していない状態で光を放ち、闇属性である“守人”が光を保ち続けることは体に大きな負担をかける」


 どごり、と鈍い音がムゲンマウンテンの頂上にいるそれにも聞こえた。進化した6匹のデジモンの攻撃を受け、倒れているのはレオモンとオーガモン。


「――やはり、いくら疲れた相手とはいえ、“守人”の力を受けた6体相手では厳しいな…」


 それでも、それは始終笑みを浮かべていた。

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