「栞と僕は繋がってるんだよ。だから君が不安に感じたらすぐに分かるさ」
「また、邪魔をするのか」


 赤い瞳は爛々と輝きを増す。


「邪魔だって?愚問だね。当たり前だよ。全くお前も大概懲りないやつだな」


 彼の口ぶりからして、イヴモンは目の前のデジモンを知っているようだった。そして、そのデジモンに対する醜悪も感じられる。青と赤の瞳が混じり合い、交ざり合うことなく静かに分離した。


「まあいい。――もうすぐ、手に入るのだから」


 ばさりとデビモンが腕を広げた。潤んだ視界で見つめた世界が、だんだんと姿を変えていく。まず初めに建物が消え、残ったのは土台をなっていた石材だけだった。その力が恐ろしくなり、栞はイヴモンを抱き寄せた。トクントクンと伝わってくる彼の鼓動が、栞の不安を消し去るようだった。
 栞に力はない。何も、できない。


―――…そんなことはないさ。


 そう思った時、耳元を掠める声が聞こえた。デジタルワールドに来て以来、度々耳にする声だった。


「――お兄、ちゃん…?」


 栞の言葉に対する返事はない。声は聞こえない。けれど、肩に暖かな手が触れた。それは兄の手ではなく太一の手だったが、栞には兄のような暖かさを感じた。


「俺たちが、お前を守るから。だから、栞は、諦めないでくれ」


 たくましい輝きを放つ瞳は、勇気の象徴だった。


17/07/25 訂正
10/11/08 訂正

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