「タケルくん!」
そんな時、ふ、と暖かい声が聞こえた。タケルは思い切り後ろを振り返る。そして、ぱっと笑顔を咲かせた。
「あ、栞さん!」
「栞、イヴモン!」
「タケル、パタモン、ヨかっタ!無事ダったんダネ?」
相変わらず暖かい笑顔で、栞はタケルのもとまできてくれた。あの時、兄を助けてくれた栞のことを、タケルは姉のように慕っていた。ぎゅ、と抱きつけば、戸惑いながらだけれど優しく抱き返してくれる。
「大丈夫だった?怪我とか、してない…?」
「うん、僕、平気だったよ!パタモンも一緒だし、それにあの子たちもいたから」
タケルの後ろでぴょこぴょこ跳ねる幼年期のデジモンを見て、栞は更に優しく笑った。
★ ★ ★
デビモンは、空に浮かぶ鏡に映る最後の1人を見ていた。そしてその隣にいる守人を見ていた。
「まさか、こうなるとはな…」
他の選ばれし子供たちに打った手は、悉く彼らによって破られた。二匹ずつの成熟期相手には、少しばかり無謀だったのかもしれない。
「進化する前に手を打たなければならなかったのか…」
しかし、その声は少しも残念そうではなかった。むしろ、これから起こすことに対する嬉々に溢れている。
「…となると…いまだ進化のできぬ、このデジモンを倒せばいいわけだ…」
都合良く、守人も隣にいる。この選ばれし子供には、守人は守れまい。彼女のパートナーだと自称するデジモンも、役には立たない。
「選ばれし子供たちのうち1人でもかけて、守人を我がものとすれば、我が勝利…」
時は近づきつつあった。
ファイル島、いや、デジタルワールド全体の運命を賭け、正義と悪、光と影が相まみえる。そう、両者の戦いがまもなく始まろうとしていた。
17/07/25 訂正
10/11/09 訂正
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