「そうだ!僕がタケルを守る!――エアショット!」


 レオモンの動きを遮るように、前に出たパタモンは空気の塊をはき出した。しかしレオモンは諸戸もせず、涼しい顔で、一歩一歩と近寄ってきた。


「っエアショット!エアショット!エアショット!、うわっ!」


 一瞬間のうちに掴まれたパタモンは、精一杯の抵抗として身を捩らせるが、何の意味もなかった。


―――……誰か、誰か助けて!


 タケルを抱きしめたまま、目をぎゅっと瞑った栞は心の中で何度も祈る。無力な自分が出来ること、それは、祈ることだけ。


―――…しゃらららん!


 しかしそのちっぽけな願いは、あらゆる時空を越え、叶えられた。


「ちくちくバンバン!」


 トゲ状のものが、レオモンの背中に突き刺さった。その勢いのまま、サボテンを模したデジモンはレオモンに体当たりしてくる。不意打ちだったため、レオモンは思うようにバランスを取ることができず、パタモンを離した。パタモンは、運良くタケルのすぐそばに落下した。抱きしめていた手を離すと、タケルはすぐにパタモンを抱き起こした。


「パタモン、パタモン…!」
「タケル…、タケルは、僕が守らなきゃ…」


 今にも閉じそうな目で、パタモンは必死になりながら、そういった。同じようにタケルのすぐそばで屈んだ栞は、緩む視界の中でパタモンをしっかりと見つめた。腫れものに触れるように頭を撫でれば、パタモンの身体は少しだけ輝いた。


「大丈夫だヨ、君ハ君の大事な人ヲ、守ったヨ」


 イヴモンの言葉が引き金となり、パタモンは目を閉じた。タケルは慌てて起こそうとするが、イヴモンに優しく諭され、タケルは思い切りパタモンを抱きしめた。
 その時、空が翳った。上を見上げれば、カブテリモンに乗った光子郎とミミの姿が見える。


「みなさぁん!聖なるデバイス、デジヴァイスの力を使ってください!」


 降りてきて早々に光子郎は言った。
 首を傾げる太一たちに、ミミは得意げになってデジヴァイスを見せた。


「聖なるデバイスには暗黒の力を消し去る力があるんです!」
「…そういえば」


 太一は、洋館での出来事を思い出した。
 あの時一瞬だけでもレオモンは正常に戻った。光り輝いた、自分のデジヴァイス、そして栞の身体。


「よし、それなら!栞、こっちに来てくれ!」


 呼ばれた彼女は何事かを目を丸くさせるが、そんなのお構いなしに太一はその腕を引っぱって無理矢理立たせた。


「レオモン!お前の狙いは栞――守人なんだろ、だったらこいつを捕まえてみろよ!」
「太一、何言って、!」


 咎めるようなヤマトの声も、驚いたような栞の目も、すべて無視して太一はにっと笑った。栞の耳に顔を近づけ、小さな声で呟く。「お前が祈るんだ」栞はさらに驚いた顔をして、それからすぐに力強く頷いて見せた。

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