「暗黒の力の中心にいるデビモンを倒さなければならない…」
「なんだよ!やろうぜ、みんな!どうせアイツを倒さなきゃ、生き延びることはできないんだ!」


 沈んだ声色のヤマトを叱咤するように、太一が言った。その瞳が無謀ではなくて、ただこの先にある未来を見つめていたので、栞は小さく頷き立ち上がった。


「…帰る、ためにしなきゃ、いけないんだよね」
「そう、ですね…。それに僕たちには聖なるデバイスと、栞さんがいますし」
「ミミも頑張る!怖いけど、お家に帰りたいし…」
「いつでも戦闘OKだぜ!」


 太一とアグモンも互いを見て、元気よく立ち上がった。
 最期まで座っていたのはヤマトだった。やはりタケルがいる分、考えが消極的になってしまうのだろう。


「行こうよ、ヤマト!ムゲンマウンテンに!」


 ガブモンの言葉に、ヤマトは1回だけタケルを見た。彼はやる気満々に立ち上がっている。その瞳は、すでにムゲンマウンテンに向けられていた。その次に栞を見た。彼女も自分を見ていたらしく、目が合った。
 心配そうな瞳は、初めて彼女と会話をした時より、逞しく思えた。消極的で、大人しくて、言われるままの仕事をただこなす。…そんな女の子だと思っていた。だが、ここへ来て、その見方はただの偏見だということに気づいた。彼女は強かった。たまに泣いてしまうこともあったが、それでも強かった。自分なんかよりも、ずっと。
 ヤマトは、無意識のうちに芽生えていた思いをまだ知りたくはなかった。それを知ってしまえば、自分は大人になってしまうと思ったからだ。まだ、子供でいなくてはいけない。だからその思いをわざと打ち消すかのように、何度も頷いた。


「そうだな。…やるしか、ないな」
「そう言うと思ったぜ、ヤマト!」
「ただムチャするようなことは、絶対させないからな」
「う、…分かってるよ」


 太一の苦虫を噛み潰したような顔に、子供たちは笑った。


「私も協力しよう。デビモンは、必ず守人の力を狙ってくる」
「私、の…」
「栞ハこの世デ最も尊いモノ。『狩人』と同ジ、世界ノ秩序で、シかも栞は『闇』。アイツはそノ力を手にシ、世界を闇に変エヨうとしテいるんダヨ」
「なあ、イヴモン」


 そのとき、ふ、と太一の頭の中をよぎったのは疑問だった。太一は額に手をあて、それから、ずいっとイヴモンへと身を乗り出す。


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