「どうして栞が『闇』なんだ?レオモンは栞の『光』に助けられたんだろ、それに栞の『光』が進化する時に手助けしてくれる。だったら栞にあるのは『光』になるんじゃないのか?」
「それは俺も同じことを思ったな」
「…いヤ、栞は紛レもなく『闇』ダ。巨大な『闇』を統治すベキ秩序。だカらデビモンがそノ力を欲しがル。――モう一人ネ、コノ世界には『狩人』といウものガいるンだ。『守人』が世界ヲ守るノナら、『狩人』は世界を狩るもノ。君たちが言う『光』といウのならバ、彼が『光』ダ」
「ちょっと待ってください、それは可笑しくないですか?普通に考えたら、世界を守るという『守人』――つまり栞さんが光のような気がしますが…」
頭の回転の速い光子郎は、直ぐさまイヴモンに問いかけた。すぐに答えが欲しかった子供たちは視線で促すが、イヴモンは空を見上げたまま、何も喋らなかった。代わりにレオモンが、やれやれと言った様子で口を開いた。
「本来だったら、彼らは相対するものだ。世界を守ろうとする守人に対し、世界を狩ろうとするのが狩人。お前たちの言う通り、おかしなことなんだ」
「よく分からないわ…」
「だが狩人は、決して守人を傷つけようとはしなかった。逆に、力で守ることのできない守人の代わりに、この世界にとって不必要な障害を取り除くようになったのだ。――そう。キミたちの言うとおり、守人は光だった。でも守人は、闇になった」
「え?」
「己の変わりに世界を守る狩人に光を分け与え、己の中を闇に満たした。それ以来、この世界は反転した。守人の統治するのが闇、狩人の統治するのが光と――」
レオモンは神話を語るように、しゃべり出した。彼の話をもっと聞きたくなった子供たちは、またその場に座った。その瞳は新たな情報に期待が籠もっているのか、キラキラと輝いている。栞もみんなの合わせて、その場にしゃがみ込んだ。だが自分の中で、何かが目覚めていくのを感じていた。話を聞く度に、どくどくと鼓動が早く高鳴る。爆発してしまいそうなくらいの、苦しさを感じた。
「でもなんでなのかしら。本当だったら敵なんでしょ?」
「理由は私にも分からない。ただ最近なんとなくだがそれが理解できるようになった。…守人が、優しかったからではないだろうかとな。狩人は、たぶん、彼女の優しさを心から守りたいと思ったのだろう」
「ああ、それは…何となく分かる気がする」
そう言った太一の視線は、本人も無意識のほどに栞を捉えていた。
「守人はネ、たダ世界を愛しテイたんダ。けれド彼女自身の力ト言っタら、祈ルことクラいシかなイ。自分の力でハ、何かアった時、何も守レナいっテ思っタ。…だかラ、そノ代わリに狩人が世界ヲ力的に守っタ。彼ニとっテ、世界なンて、ドウでもよカったノかモしれナイ。タだ、守人がイる世界を、守れレバそれデっテ…」
それは急に音を立てて、はじけ飛んだ。
あたりに散らばったカケラを、一つ一つ集めて、そして、ようやく目覚めた。
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