「…あれって…オーロラ?」
空が目を見開いたまま、信じられないような声が聞こえた。
「キレイねえ」
「綺麗と言うより…大体、日本でオーロラが見れるなんて…」
ヤマトも呆然と呟く。にわかに信じられるものではなかったが、その神秘的なスペクタクルに全員が目を奪われじっと見ていた。
その時だった。オーロラの中にキラッと何かが輝いた。一つではなく複数の光。その光は栞たちに向かってきている気がする。目の錯覚かと思ったがずっと光り続けている。
「何か飛んでくる!」
「…光の玉?…隕石か?」
それはあまり動体視力のよくない栞に見えるくらい近づいてきていた。
全部で八つの光点。
「伏せろ!」
ヤマトが叫ぶと、全員がその場に伏せた。
パーン!
鈍い音がして、雪柱があがった。その二メートルを超える高さから、衝撃のもの凄さがうかがい知れよう。さいわい子供達に怪我はなかった。
「大丈夫か!?真田!」
栞は、その場に恐怖で硬直してしまい、動けなくなってしまった。間一髪のところで太一が腕を引っ張ってくれてかばってくれたので、なんとか怪我をせずにすんだ。
「…う、うん…あの、あり、がとう…、八神く…ん」
直視ができなくて、なんだか恥ずかしくなってしまい顔が赤くなりつつも、慌ててお礼を言った。
「い、いや平気ならいいんだけどさ」
太一も恥ずかしくなったのだろう、栞につられて照れながら手を引っ張ってくれた。
「いったい、何だったんでしょうね?」
光子郎が、勇敢にも光が勢いよく落ちた地点に走っていくのが見えた。思ったとおり、光の落ちた場所には穴があいているらしい。ふわり、と穴の中から光を放つ『何か』が浮かんできた。
それが、全部で八つ。
「な、何なんだ?」
太一が素っ頓狂な声を上げた。
と、その綿帽子のような八つの光のかたまりは、栞を含めた子供たちそれぞれの手の中に飛び込んだ。
「これ…?」
触れた瞬間に、何かが頭の中で割れる。目の前が黒くなった。
――栞は“これ”を知っていた。
「…デジ、ヴァイ、ス、」
ポケベルに似た液晶画面の何かの装置。その表面を光の粒子が靄のようにオブラートしていた。
栞が呟いた直後、八つの『デジヴァイス』がピピピピ……と電子音を発した。その時、上空で、そよ風を受けるように揺れていたオーロラが、突風にあおられたカーテンのように激しく揺れ出した。何事だろう、と見ている間に、オーロラの揺れは激しさを増していった。
突然だった。ありえない事が起こった。高い山の中だというのに、巨大な波が自分たちを襲ってきたのだ。声を出す間もなく、子ども達は、吸い込まれていく――。
「「「うわぁあぁぁああ!!」 」」
あらがえない力に囚われて、栞を含めた八人はその中に吸い込まれていった。
これが、長くて、短い冒険の始まりだった。
17/07/22 訂正
10/05/31 訂正
08/01/14
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