たとえこの命尽き果てようとも、すべてをただ彼らのために、栞のために、…タケルのために。
「…守人を『守ろう』としたオマエの気持ちは無下にはできまい。しかしオマエは道を違えた。守人はオマエには差し出すことはできない。ならば…オマエはこの世界から消し去らねばならん…」
エンジェモンの手から、淡いオレンジの光が灯された。彼は悲しげに、それでも、嬉しそうに微笑んだ。
「エンジェモン…?」
「すまない…タケル…」
「やだ、やだよ、エンジェモンッ!」
「タケルくん…、」
強く、強く。タケルの身体を抱きしめた。
小さな身体は、泣くのを必死に耐えて、震えていた。
「つぶれてしまえ!!」
その声を引き金に、エンジェモンの手から、大きなオレンジ色の炎が宿る。
「ヘブンズナックル!!」
そして溜めたそれを一気に放出する。エンジェモンの必殺技、ヘブンズナックルは、余すことなく、デビモンの胴体を貫いた。
ドォン!という地響きとともに、ファイル島は光に包まれた。それはみなの光を授かったエンジェモンの中から溢れた、浄化の光だった。
「愚かな…」
消えゆく身体を見つめながら、デビモンはそう呟いた。
「愚かだぞ、エンジェモン…。こんなところで力を使い果たしてどうする?暗黒の力が広がっているのはこのファイル島だけではない…。海の向こうには私以上に暗黒の力を持った守人を狙うデジモンも存在するのだぞ!」
「デビモン…」
栞はタケルの身体を抱きしめながら、彼の名を呼んだ。にやりと象ったその口の端が、とても悲しそうに見えた。
「おしまいだよ!オマエたちは!わっはははは!!」
「…デビ、モン」
「…至極残念だな、守人。お前をこの手にすることができず、」
「 今度出会う時は、平和な世界で、一緒に笑おうね 」
彼女の姿が、 あの頃と重なる。
漆黒の髪を揺らし、草原の中で微笑む人。
―――…あの時見た、自分の大好きだった、あの笑顔で。
―――…ああ、守人。オマエに会えて、よかった。
安らかな笑顔を浮かべ、彼の身体は世界へと消えていった。
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