「エンジェモンッ!」
「タケル…きっとまた会える…」
力を使い果たしたエンジェモンの身体も、淡い光に包まれ、ぽろぽろと崩れていった。タケルの顔がくしゃりと歪み、優しく微笑むエンジェモンに、彼の涙が溢れ出した。
「タケル、キミが、望むなら…」
また一緒に冒険しようね。
この世界で、何よりも、誰よりも、一番大切な、タケル。
「…ま、待って…!」
手を伸ばし、エンジェモンを捕まえようとする。
しかし、その手は、ただ空を掴むだけだった。
「エンジェモーンッ!!」
少年特有の高い声で、タケルは必死に喉が枯れるまで。
その身体を抱きしめることができず、栞はただエンジェモンが消えた方を見ているしかできなかった。
―――…ありがとう、エンジェモン。
心の中でそっと呟いたその時だった。
「……?」
胸が、急にぽわんと温かくなり、じんわりと身体全体に広がっていく感じがした。
「あ…」
そして、その正体を、栞はなんとなく無意識に感じ取った。一枚の羽根が、ふわりと目の前に舞い降りる。
それは、きっと、彼が残してくれた物。そして、それは彼の。
「タケルくんっ、!」
「え…?」
「これ、見て…!」
栞はあわてて地面を指さした。そこには2枚の天使の羽根が重なり合っている。やがて、一枚、一枚と羽根がかさなり、栞が最後の一枚をその上に重ねた。
「…え…?」
タケルの瞳が希望に満ちるのと同時に、ポウ、と明るい光が辺りに広がり、それは小さな卵に変わった。
「デジタマや…」
「きっと、エンジェモンが残したくれた、デジタマだよ。…タケルくんに、もう一度育ててもらいたいって」
「エンジェモン…なの?」
「そうサ!エンジェモンはもう一度卵からやり直すんダヨ、タケル」
「そうそう、ちゃんと進化すればまた会えるわよ!」
みんなの温かい声に、タケルはそっとデジタマに触れ、抱きしめた。温かい鼓動が、伝わってきた。それはたぶん、あの子のものだ。
タケルの瞳から涙がぽたりと落ちて、デジタマに広がっていった。
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