「消えた!?な、何だったんだ、今のは…」
「!…見てください!」


 先ほどのゲンナイの言葉通り、光子郎はパソコンを起動した。思った通り、パソコンは正常な動きを見せる。


「地図が、無事に届いたみたいです」


 太一が後ろからパソコン上の地図をのぞき見てから、腰に手をあてた。


「…これから、どうする?」
「うん…」


 進化できると聞かされても、それがどこにあるのかは不明。そしてタグや紋章を手に入れて進化できたとしても、デビモンよりも強いデジモンたちを倒せる保証はどこにもない。
 一気に疲れが襲ってきたようで、子供たちみんなの顔は曇り始めた。


「…ふう」

(八神くんは、どうするんだろう…)


 ひっそりとため息をついた太一を、栞は見つめた。こういう時、彼はどうやってこの場を乗り切るのだろう。彼までも、暗い顔をしてしまうのだろうか。


(でも、そうせざるを得ない、よね)


 ゲンナイの登場は、希望であったが、反対に絶望でもあった。肝心なところは分からず仕舞いな挙げ句、最後まで話を聞くことが出来なかった。まだ、妨害が続いているということなのだろうか。暫し、沈黙が流れた。


(…え?)


 栞は、ずっと太一の横顔を見ていた。最初は眉を寄せていた太一だったが、次第に、笑みを浮かべ始めたのだ。


(どうして、笑えるの?)


 それは、素直な疑問であった。どうしたら、この状況で笑えるのだろう。何を考え、そんな表情を作っているのだろう。みんなのため?空気を良くするため?…彼はそんなに大人だったのだろうか。


「とりあえず山を降りようぜ!まず何か食って、決めるのはそれからだ!」


 太一の笑顔の言葉に、みんなが頷いたのは言うまでもない。
 一人、一人と山を下っていく中で、栞は太一の服の袖をつんと引っぱった。


「…?どうしたんだよ、栞」


 また、笑顔。
 栞は、胸の奥で何かがきりりと痛むのを感じた。

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