「分かったよ、太一!」
元気よく返事をしたアグモンは、口を開けて、再びベビーフレイムを放とうとしたとき、シェルモンの口から勢いよくでた潮に吹き飛ばされた。
「アグモン!」
気付いたら太一はアグモンの方に駆けだしていた。危険など顧みず、否危険など見えないとでもいうように。だめです!光子郎は思わず太一の腕を取った。
「太一さん、ダメです!!危険すぎます!」
「はなせ!」
だが太一の行動は早く、そして気迫じみていた。彼はあろうことか、光子郎の制止を振り切って走り出した。
倒れたアグモンの上にシェルモンがのりかかる。その間にもシェルモンは潮の噴出を止めず、海岸に建っていた電話ボックスを将棋倒しに破壊した。
「アグモーン!」
危険を顧みず走る太一の腕を、栞は掴もう手を伸ばした。
「八神くん、だめ!…あっ!」
だがその手は空を掴み、太一は見る間にアグモンの元へと駆けてゆく。
「あのばか!」
ヤマトが太一の後をすぐに追いかけた。しかし、何のいたずらか、シェルモンがクシャミをし、海岸の砂がぶわっと巻き上がった。
「うわっ」
「うわあーっっ!!」
予期せぬ砂嵐にヤマトは視界を失う。そこに太一の悲鳴が響き渡った。てかてか光る触手に囚われてしまった太一に、みなが目を見開き、それから発作的に目を瞑る。
自分たちには力がないから、太一を助けることは叶わない。だから無理だと諦めた。誰もが何をすることもできない。都合よく、また光が舞い降りるなどありえない。体格差からいって、彼ら全員のデジモンが束になっても勝てるかもわからない。
そんな中、震えながら、栞はしっかりと目を開けてその光景を目に灼き付けていた。その仕草はまるでその光景を記憶しているようにも見える。彼女自身ほとんど無意識の状態だった。ただそうしなければいけないと頭の中で何かが囁いた。
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