012 曖昧な関係の心地よさ
アグモンの時と同じように、ガブモンと栞にありとあらゆるその情報は素早く頭の中で整理され、必要な情報だけがたたき出される。
「『ガルルモン』」
一つ一つは小さな情報の輝きが、集まって流れとなり、ある一点を目指した。輝きの奔流は螺旋となって、表に見えないガブモンを構成するデータの上に降り注ぐ。形態情報が瞬時に書き換えられ、質量までも呼び込み、炎のような光とともに変化した。
「ガブモン進化!!――ガルルモン!!」
狼に似た蒼いそれは、一気にかけ出すとヤマトを締め上げる原因の尻尾に噛みついた。一瞬の出来事に思えた。ヤマトはそのまま湖に放り出されたが、ヤマトは1回もガルルモンを見ることなく、島まで泳いできた。
「ヤマト!」
太一はガルルモンに魅せられながらも、ヤマトに駆け寄り、背中を撫でた。
「っはあはあ!」
「お兄ちゃん、大丈夫!?」
「お、オレより、ガブモンが…」
「『ガルルモン』なら、大丈夫だよ」
栞は、すんなりとそう言った。未だケホケホと咳き込むヤマトの背を撫でていた太一は、その言葉に、その出で立ちに違和感を覚えたが、ぼちゃんっという大きな音に気を取られ、そちらの方へと視線を向けた。
ガルルモンはシードラモンにたたき落とされ、湖の中にいた。にやりと笑ったシードラモンの尻尾が、再びガルルモンをたたき落とそうとするが、それは適わなかった。叩き落とした本人でもあるにも関わらず苦しそうに、シードラモンが叫ぶ。
「ガルルモンの毛皮は伝説の金属ミスリル並の強度なんや!」
「けれどまだ彼は使っていない」
栞の言葉に、イヴモンも頷く。そう、何もシードラモンの攻撃は尻尾でたたき落とすだけではない。
悔しげに一つ咆哮をしたシードラモンは予想どおり、口から凄まじい冷気が発せられ、たちまちガルルモンの身体を凍らせていく。
「あ、あれはシードラモンの必殺技、アイスアローや!」
誰もが祈りを捧げるように手を組み、目を見開いてシードラモンとガルルモンの戦いぶりに見入っていた。
ガルルモンは身体を左右に揺さぶり、氷付けになった身体を完全に覚醒させると、口を開けてそこから蒼い炎を発射した。
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