「フォックスファイヤー!!」


 フォックスファイヤーと呼ばれたものは、ドオッと空を轟き、真っ直ぐにシードラモンに向かっていく。瞬殺とも言えるその様は、少なくとも子供たちの胸を高鳴らせ、デジモンたちの心を急かした。
 シードラモンは攻撃をまともに喰らったらしく、そのまま湖の中に倒れて、悲鳴をあげながら深く潜っていった。光り輝くガルルモンは、いつしかガブモンの姿に変わり果て、ヤマトは急いで近寄ってその身体を湖から引き上げた。
 夜は戦いの合間に明けたらしく、眩い朝日が子供たちに降り注いだ。


「何とか無事だったみたいだね…」
「何だよ、進化できるなら始めからしろよ!」


 ガブモンの背中を叩いて、ヤマトは顔を緩ませて言った。ガブモンは照れたように頬を赤く染め、それから首をふった。


「でも、ありがとう、ガブモン!助けてくれて」


 にっこりと笑ったタケルは、勢いよくガブモンの身体へとダイブした。小さな体でも勢いがつけば重量はプラスされるもので、ガブモンはその場にとどまることに必死になった。


「ありがとう!」
「いや、そ、そんな…。それに、俺が進化できたのは、栞のおかげでもあるから」
「へへ、栞さんも、ありがとう!」


 栞は自分に話が来るなんて想いもせずに慌てて首を左右に振った。先ほどまでの凛々しさがどこかに行ってしまったように縮こまる。


「わ、私は何にもしてない、よ」
「でも栞さん、僕の手、握ってくれたよ。必死に、掴んでてくれたよ」


 にっこりとタケルは笑って、ありがとう、と再度言った。その愛らしい笑顔につられ、栞は自分の口端がにこりとあがるのが分かる。

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