「ピヨモンは人なつこいデジモンなんや。イヴモンはあまり人に懐きはしないのや」
「デジモンによって性格がそれぞれ違うんですね。人間と同じだ」


 自分とピヨモン、栞とイヴモンを見て言っているのだろうか。テントモンと光子郎が話す言葉が空の耳に入って来る。やり切れない思いだけが溢れてきて、空は少しため息をついた。


「空!そーら!」
「こんな甘ったれのデジモンと上手くやっていけるのかしら…」


 空の視線が自分に向いていないと悟ったのか、ピヨモンは更に空にすり寄った。しかしその行動が、不安を空の胸の中で渦巻かせた。それじゃなくても疲れているのだ。今はそっとしておいてほしい。


「あ…」


 先頭を歩いていたヤマトが立ち止まり、向いた方向に子供たちも視線を向ける。


「森から抜けるぞ」


 目の前に広がる光景は、灰色とそれから青の二色だった。緑はどこにもない。見ているだけでも嫌になるくらいの砂漠が目の前に広がっていた。
 子供達はまた歩き始めた。その先に何があるかは分からない。けれど歩かないことには辿り着くことも出来ない。


「…あつい」
「栞、大丈夫?」
「…うん、」


 覇気のない返事、歩くスピードも段々と遅くなっている。もともとアウトドアなどしない栞にとって、暑い日差しは苦手なものの部類に入る。歩いているうちに、太陽に焼かれそうになるくらい暑くなりはじめた。森のように木々が覆い繁っているわけではないため、太陽を遮るものがない分、日光が直接肌に触れ、汗がとまらない。辺りを見回しても同じような景色。めちゃくちゃに立てられた標識には、出てくるのはため息でしかなかった。


「これってテレビで見たアフリカのサバンナってところに似てるな…」
「光子郎の見たサバンナって、電柱とか立ってたか?」
「いいえ、立ってません…」


 そう、サバンナに電柱やら標識が立っていたら世界中が吃驚してしまう。栞は森を出てくる際に、あちらこちらを向いた矢印の標識が同じように立てられているのを見かけた。言い出そうか迷ったが、みんなを混乱させたくないから、と心の中に止めておいた。


「きっと近くに人間がいるんだ!」
「でも…海岸の公衆電話とか湖の電車とかみたいなとこだってあるじゃん」


 こんな猛暑の中、大声をあげれば大声をあげるだけ水分や体力を失うことになる。気づいた子供たちは口を閉ざし、立ち止まった。

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