「それにしても暑いですね…。早めに水を確保したほうがいいんじゃないですか?」
「うーん、確かにな。このままじゃ全員干上がっちまう」
「僕たちは平気だよぉ!」


 子供達の体力ややる気は削られていく中、デジモンたちはまだまだ元気だった。ここは彼らの土地なのだから、慣れているのは当たり前だ。しかし栞の頭の上に出ていたイヴモンは、誰よりも近い位置で日光をよく浴びたため、限界寸前だった。もうだめ、と言い残し、彼女のショルダーの中に姿を隠した。そんな姿に小さく笑み。栞は自分のタオルで、その頭を覆い隠してあげた。
 ふ、と前を向くと、ピヨモンと空がいた。暑くなった気温の中で、ピヨモンは相変わらず空にぺっとりとくっついている。空の苛立ちは絶頂だった。


「空ぁ、空ぁ!」
「…あーっ、もう!無邪気にじゃれつかないの!余計に疲れるわ!」


 空が立ち止まって今まで溜まっていたものをはき出した。前を歩いていた太一たちも振り返り、目を丸くさせる。あの空が、一体どうしたというのだろうか。パチパチと目を瞬かせ、空とピヨモンの動向を探る。
 ピヨモンは、一瞬では空の言っていることが理解できなかったが、すぐに分かってしまった。それから悲しくなって俯いた。


「…空、疲れてるんだ。あたし、静かにしてる…」
「ピヨモン、」


 栞には、なんとなくだが、ピヨモンの気持ちが分かった。ピヨモンはただ嬉しいだけだった。ずっと待っていた。やっと会えた。一緒に旅が出来る。諸々の感情が堰を切って溢れだし、ストレートに空へとぶつけた。しかしそれを受け止められるほど、空の気持ちは追いついていなかった。涼しさを含む森の中でなら我慢ができたのだが、炎天下の空の下では、暑苦しくまとわりつかれてはたまったものではない。半ば八つ当たりだったのを、空はちゃんと分かっていた。一歩後ろで俯くピヨモンへと視線を送れば、栞が空を見ていた。彼女は少しだけ心配そうに自分とピヨモンを見つめ、いつものようにペンダントを握りしめていた。それは彼女が何かを不安に思っているサイン。気づかないほど子供じゃない。


「…わかった、わかった!一緒に歩こう!」
「ほんとぉ!?あっ、あたし、うれしい!空、だーいすき!」


 友達の悲しそうな顔を見過ごすわけにもいかず、空は内心ため息をつきながらそう言った。若干、顔にも出ていたが、ピヨモンには気づかれなかった。


「しかし」


 汗を手の甲で拭きながらヤマトが口を開いた

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