「直った…?」
「え…」
「やったーっ!直ったぞ!」
次いで光子郎の顔に咲いたのは、笑顔だった。栞は目を見開いたまま、深い息を漏らした。壊してしまったのかと思ったが、どうやらその逆だったようだ。
「パソコン、大丈夫…?」
「はい!…でもバッテリーがゼロになっているのに動いてるんです」
おそるおそる光子郎に問いかければ、先ほどまでの不機嫌はどこかへと吹き飛んでしまったかのように笑顔だった。彼と知り合ってまだ間もないが、こんな笑顔は見たことがなかった。その後、光子郎はすぐに首をかしげた。バッテリーがゼロの状態でパソコンが起動するわけがない。彼ほどパソコンに詳しければ、それくらい序の口であろう。もちろん、多少なりともパソコンに触ったことがある栞ですら、その状態でパソコンが起動しないことくらい知っている。2人は一緒に首をかしげた。
「栞さん、何かしました…?」
「わ、私は逆に壊しちゃったかな、って思ったんだけど…」
「ですよね…。肘、ぶつけましたもんね」
「う、」
「おーい、みんなぁ!」
栞は心の中でナイスタイミング、と太一をあがめた。光子郎の心の内を、ちらりと見てしまった気分だ。太一の声は更に続き、「ちょっと来いよ!」と手招きする態度だったので、二人も急いで太一のもとまで急いだ。他の子供たちは二人より先に集まっていたらしく、愕然とその方向を見ている。(なんだろう…?)煙が見えていたが、それと何か関係があったのかもしれない。もしかしたら煙を作っている人間を発見したとか。
空と丈の間からのぞき見て、栞も目を見開いた。
「…こう、じょう?」
そう、それは大きな工場だった。
いつまでも見ているだけでは始まらない。そう言ったのは、いつになく瞳を輝かせた丈だった。丈と太一は勢いよく、他の子供たちは恐る恐ると足を踏み入れた。そんな彼等の目に飛び込んできたのは、生きている機械だった。がたん、がたんと音を立てて動き機械たちに、子供たちは目を丸くさせる。何やら精密な部品を作っている工場らしい。さまざまな部品が、ベルトコンベアに乗せられ、流されていった。流された先では、部品と部品が組み立てられているのだろう。しかしそれが何になるのかまでは、分からなかった。
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