「パルモン、ミミ。栞、イヴモン!頼りはオマエたちしかいないんだ!」
「ヤマトたちを助けて!」
非力な自分たちはここから出られないから、と彼らの心の叫びが聞こえた。
栞は揺れる視界を最小限に抑え、くるりと踵を返した。栞さん?とミミの彼女を呼ぶ声が聞こえたが、栞は掌を握りしめたまま前を向いていた。
「行こう、ミミちゃん」
「え?でも…」
「…私たちにしか、出来ないことだから」
しっかりと、自分の思いを告げる。いつもうやむやにするのが栞の得意技で、曖昧に笑って誤魔化す。俯いていれば誰も栞に気づかないし、誰とも関わっていくつもりがない栞にとっては一番の方法だった。でも今はそうも言っていられない。
みんな、栞の大切な仲間だから。仲間という水を知ってしまった、栞は、一人の水の中には戻れない。
「…でも具体的にはどうするの?」
外国の遊園地にいるかのようだ、とミミは呟いた。栞も同じことを考えていたので、曖昧に笑って頷く。四人は、おもちゃの街を歩き出した。先ほどとは違い、隣にはパルモンとミミがいる。イヴモンは相も変わらず、栞の隣をふよふよと旋回していた。
ふ、とミミが問えば、パルモンはそうね、と呟いた。
「もんざえモンのラブリーアタックは幸せの詰まったハートを飛ばすハッピーな攻撃のはずなんだけど、」
いまいち状況を把握できないのか、ミミの眉は未だ寄っていた。むぅ、としたように唇をを尖らせる。栞は苦笑して、悩みこんでしまったパルモンと同じように考え込んだ。おそらくアンドロモンの時と同じだと考えれば、もんざえモンも元は優しいデジモンなのだろう。それを知っていると戦いづらい。更に向こうは完全体だ。追い風でも吹かない限り、自分たちに勝機は見いだせない。
「…もう、本当にわけわかんないわ」
グッドタイミングで、『ハッピー』な状態にされたタケルが、「バンザーイバンザーイ」といいながら、おもちゃのヘリコプターを追いかけ、彼女たちの前を駆けていったのも原因の一つだった。ミミは更に眉根を寄せて、俯いた。
「あれのどこがハッピーなのよ」
「もんざえモンが直接悪いワケじゃあナイ。黒い歯車ノせイだヨ。みンなの感情を閉じこメ、オモチャにしよウとしテるンダ」
「そんなのいやよ!」
「おもちゃなんて、全然楽しそうじゃなかった」
タケルの眉も空の笑顔も、泣きそうに歪んでいた。その表情だけで、辛いのだろうということがよく分かる。――早く、助けなくては。
「焦ってモ、仕方ないヨ。まずハ、もんざえモンの居場所を把握しなキャ、…っテ。ウワッ…」
ずしん、と大きな地鳴りがした。ミミと栞は互いにしっかりと抱きしめ合って、転倒を防ぐ。
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