「ふふふ、」
栞は、思わずびくりと肩を震わせた。
たくさんの風船を両手に持ったもんざえモンが、凶悪そうな笑みを浮かべ、栞とミミの前に立っていた。
「おもちゃのまちへようこそ!!」
もんざえモンのくまのぬいぐるみのような愛らしい姿を目に映すと、先ほどの光景が甦る。―――栞の光が、もんざえモンの中の歯車を軋ませられる。やがて歯車は止まり、光に耐えきれなくなって放出する。そうすれば、もんざえモンは以前のように優しいおもちゃのまちの町長になる。
「キャーッ!もんざえモン!!」
「お嬢さん、守人。お待ちしておりました…」
「何よッ!何があったのか知らないけど、私の友達の感情を取ることないでしょ!」
「ミ、ミミちゃん、おちつい、」
「返しなさいよ!!」
―――…しゃらん。
―――…せ くる あか げろ、。
栞はペンダントを抑え、耳元で聞こえた鈴の音と声を離さないように目を閉じる。ぎゅうぎゅうに頭の中に押し込めると、栞はぱっと目を開いてミミの手を掴んだ。
「…栞さん?」
「、!」
ちらりともんざえモンを見る。
赤い眼に、閃光が迸る。
「こっちっ!」
今来た道を引き返すように、走り出す。
あのビームのような攻撃を喰らったら最期だ。
―――… あ ち。
声が道を示してくれている。
栞は、今だけは何も疑わなかった。
「じょ、冗談じゃないわよ!」
直後、ドォンと耳を劈くような音が聞こえ、風船が空へ空へと舞い上がる。外国風で愛らしかった街並が、もんざえモンの放ったビームによって、壊されていった。
「何で私がクマのぬいぐるみに追いかけられなきゃいけないの!?」
「歯車のせいだよ、!」
「もういやよ!戦いましょう、栞さん!」
「でも!ミミちゃんを守らなきゃ…っ!」
何もできない。逃げるしかできない。そんなのは嫌だと自分だって思う。でも、たとえニ対一でも力は向こうが勝る。無謀な戦いなら起こせるわけもない。自分よりも年下のミミを守らなければ、いけない。
「…ごゆっくりお楽しみください」
柔らかい口調に似合わない冷たい声。目からはビームが連射されている。なんて恐ろしい光景なんだろう。
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