020 わたしを焦がす残夢
―――…オイラたちと居たら狩人に怒られるぞ。
―――…ふふ。怖くないもの、大丈夫だよ。
―――…でも…。
―――…それにどうして怒られる理由があるの?
だって。
あなたたちはこんなにも綺麗じゃない。
あの人は、こんなオイラたちにも柔らかい笑顔を向けてくれた。
オイラたちと会った後は必ず狩人に怒られて。
それでも、次の日。
また来てくれるんだ。
★ ★ ★
―――しゃらん。
―――しゃらららん。
青色の空間の中で、鈴の音だけが反響する。頭痛を起こしそうなくらい、近い距離だった。栞はそ、と目を開ける。だいぶ頭の中が揺れているけれど、と最期の気力だけでミミを見た。
「栞さん、ヌメモン!!」
ごめん、ごめんね。役に立てなくて、ごめんね。栞の口が、そう象った。ミミに伝わったのか、彼女は泣きそうな顔をして、首をふるふると横に振った。
せめて、ヌメモンだけでも守ってあげなくちゃ。そう思って、強く、強く抱きしめた。この空間は、いい想いのするものではないが、そこまで害はないだろう。感情が抜き取られる、ということもないようだ。それも全部、栞が『守人』だからなのだろうか。妙な特権だ、と思った。
―――…しゃららららん。
「…進化、したいの、?」
降り落ちてくる儚きデータを、握りしめる。目を瞑り、心の中で祈った。
( できるよ、パルモン。それをあなたが強く望めば、あなたは進化することができる。あなたはその方法を知っている。わたしも、知ってる。力を貸すね )
栞はそこで意識を手放し、深い闇へと落ちていった。
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