―――…ねえ、お兄ちゃん。みんな何処に行っちゃったんだろうね。
―――…心配しなくていい。アイツらはアイツらでやっていけるさ。デビモンやエテモンみたいな敵も、もういないみたいだし。
まるで自分に言い聞かせるように、ヤマトはただ川の流れを見ながら呟いた。
―――…お兄ちゃん、やっぱり戻ろう?戻って太一さんと栞さんを探そう?
二人の笑顔が、ヤマトの脳内を駆け巡った。自分だって、探して見つかるという保証があるのならば探しに行きたい。今すぐにでも。けれど、一か月半も探した。それでも、見つけることができなかったのだ。じわりと胸を支配した感情を抑えることができなくて、ヤマトは拳を握りしめ、タケルを振りかえる。
―――…あれだけ探してもいなかったんだ!もう諦めろ…!
―――……でも。
タケルはわんわんと泣き始めた。おそらくヤマトが探索を断念した想いはタケルだって分かっている。それでも、理屈じゃないのだ。ただの、『仲間』を想う気持ちだけで探し続けることの何がいけないのだ。それを思うと、涙が溢れて仕方なかった。
―――…うえ、ぅえぇええ!
―――…っ悪い、悪かった!泣くなよ、タケル…!
こう言う時、慰める方法を知らない己が酷く憎らしかった。「太一や栞たちは、」だからこそ、出た言葉は、そんな言葉だったのかもしれない。
―――…アイツらなら、きっと上手くやってるよ。
自分で言っておきながら、果たして本当かどうか危ぶまれた。けれど偽りを言ったつもりはない。
太一は元来勇気で溢れている人間だ。それにアグモンは、完全体への進化を遂げた。おそらく、大丈夫だろう。栞だって、守人という立場にいるのだ。狙われたりするかもしれないが、彼女には神秘のベールに包まれているイヴモンがついている。それに太一と栞は、同じタイミングで消えて行った。二人が一緒にいる可能性だって大きい。――そう思えば、吐き気がするくらい、心臓が掴まれたが。
―――……生きてるよね?
浮かべた涙はそのままだったが、タケルは少しだけ笑んでヤマトへと向かった。
―――…太一さん、栞さん、生きてるよね!?
だからこそ、ヤマトは口角をあげ、にこりと微笑んだ。
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