「お兄ちゃんっ!」
「…タ、ケル?ど、どうしてここに!」
「あのねっ、太一さんと栞さんと一緒に来たんだ!」
「太一…?栞…?」
「よっ」
ヤマトの青色の瞳に、見慣れたツンツン頭と、黒い髪の少女が映る。思わず目を見開いた。「生きてたのか、おまえら」思わず飛び出たのは、本音だった。
「お前より先に死んでたまるかよ!」
「そうか、すまん。タケルが世話になった!」
「気にすんなって!」
「タケル、悪かったな…。約束通り、迎えに行くことができなくて…」
「いいんだよ、そんなこと!またちゃんと会えたんだし!」
とびっきりの笑顔を見れば、ヤマトの苛立ちや不満が、一瞬で吹き飛んだ。怪我をしていないことに、心から安堵する。無事で、良かった。
ヤマトは立ち上がり、タケルの頭を撫でながら、栞へと視線を向ける。その姿も無事なようで、少しだけ安心した。
「それはそうと。今は誰もいないみたいだし、逃げちゃおうぜ!」
「え?逃げる?」
「さっさと、他のみんなを探しに行こうよ」
栞の後ろに丈の姿を確認し、ヤマトは、全ての苛立ちが舞い戻ってきた。
「俺は――」
ふい、と顔をそむけ、否定を表す。
「―――いやだね」
「え?ヤマト、」
「お兄ちゃん…?」
「逃げるのはいいが、少なくとも丈とは一緒に行けない。一緒に居たって、足手まといになるだけだ。あんなやつ!」
栞は、その言葉に目を見開いた。ヤマトはクールで、少しプライドが高くて、傷つきやすいタイプだとは思うけれど、誰よりも仲間思いな少年だった。
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