翌日、他の子供たちよりも一歩離れたところで、光子郎が示す地図を見ていた。その表情は暗く重たいもので、初めてこの世界に来た時――否、初めて他の子供たちと会った時と同じような表情である。それだけ昨夜の出来事は大きなものであったし、心を痛ませるには十分すぎた。以前のように彼女自身が憶えていなければ問題は軽く済んだというのに、しっかりと脳内に焼き付いている。
(やっぱりやめた方がよかったんだ)
やはり、誰かと仲の良い関係を築くのは、自分には難しかった。そもそも、キャンプになんか来なければ良かったのかもしれない。二つの後悔と、昨夜の後悔が混ざり合って、栞の頭の中はごちゃごちゃと複雑に絡み合っていた。
「光子郎、道案内頼むぞ!」
「それはもちろんです!…しかし、この部屋に入るには…」
「…なんだよ?」
少し眉を寄せて、何かを言い淀んだ光子郎は、空中に浮かんだ地図に描かれた一つの区域を指差した。
「この隠し通路を通らなければいけないんです…」
「それのどこが…」
「ここの壁はナノモンのいた部屋と同じように、電流が流されているんです」
太一の視界が不自然に揺れ、彼は黙り込む。
昨夜の光景が一瞬にしてフラッシュバックし、丈に止められながら「死」という言葉の前に足が竦み大切な仲間を助けられなかった罪悪感に溺れた。
―――…あなたがあんな軽はずみな行動しなければ空は!!なんであんなことしたの、なんで空がここにいないの、なんで空ではなくてはならない、なんで…どうして、答えられるでしょ、ねえ、答えてよ。ねえ、…ねえ!!
突き刺さった言葉の雨に反論できなかったのは、己に非があることが分かっていたためである。今は重たい表情で、笑顔を浮かべることはなかった。そうしたのは、おそらく、自分が原因である。だからこそ、き、と視線をあげた。
空は大切な仲間である。栞も大切な仲間である。空を助けたい。そうして、栞の笑顔も見たい。
「俺は空を助ける… 今度こそ!!」
それは、やはり、彼元来の勇気が為せる行為であろうか。栞は少しだけ顔をあげ、以前と変わらずキラキラと輝く太一の姿を視界の中に捕えた。昨夜とは打って変わって強い意志を持つ瞳に、やはり胸がくるしくなった。
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