「時間の無駄だ…くっくく……っぐ!!?何!?」
突然の攻撃によりよろめいたヴァンデモンが顔を歪め振り向くと、そこには海へと沈めたはずのウィザーモンがいた。
「ヒカリ!っ受け取れ!!」
「あっ…」
「ウィザーモン!」
まっすぐヒカリのもとへ投げ出されたそれは―まさしく彼女のもの。
歓喜の声をあげるテイルモンに優しい視線を向け、それから鋭い視線をヴァンデモンへと向け、最後にその隣にいる沈黙した栞へと悲しい視線を向けた。彼女は、感情もないまま、ただ泣いていた。
「痛ましい御姿だ…。ヴァンデモン、お前は許されないことをした。よもや守人の心を奪うとは…」
「まだ生きていたのか…」
忌々しく呟くヴァンデモンに、ウィザーモンは軽く笑ってみせた。
「借りは返さないと気がすまないタイプなんでね」
「っ黙れ!!」
「う…ぐっ…!!」
「ウィザーモン!!!」
「娘それを渡せ!!」
「いや!!」
「っいい気になるな!!」
「待て!!」
その声に、ヒカリは安心したように笑みを浮かべた。姿を見ずとも分かる。声だけで、分かる。――お兄ちゃん。
「俺の妹に手を出したら承知しないぞ!!――ヒカリ、受け取れ!!」
太一はヒカリに、彼女のデジヴァイスを投げた。ヒカリはすぐさまそれをしっかりと受け取った。兄の思いを。ウィザーモンの思いを、その小さなでしっかりと。掲げたデジヴァイスは、輝いていた。
しかしその瞬間、いつになく素早い動作で向かってきたピコデビモンは、天に向かい掲げられた、その大切なデジヴァイスをあろうことか奪い取ったのだ。
「ヴァンデモン様!これさえこちらにあれば怖いものなしです!!」
「よくやった!―これでお前たちなど相手ではない!」
「なんだと!?」
命令を聞かずとも従順な手下であるファントモンは、すぐにビルの屋上にいる太一とグレイモンのもとへ向かった。
「グレイモン超進化ァ!!――メタルグレイモン!!!」
メタルグレイモンの鬼気とした気迫に圧倒されたのか、ファントモンはびくりと体を震わせ、無意識のうちに後ずさっていた。いつの間にかヴァンデモンのところまで後退していたらしいが、メタルグレイモンは「ギガデストロイヤー」を彼らに向けて放った。しかしそのわざも呆気なく、ヴァンデモンの前には散っていった。
「ホーンバスター!!」
「ハンマースパーク!!」
「シャドーウィング!!」
「フラウカノン!!」
どれだけ放とうとも、どれだけ力を籠めようとも、全てヴァンデモンの前に砕け散っていく。
「ふん。所詮、守人の力を持たぬお前らはこの程度ということだ!」
「くそ…っ!!」
「この娘の闇は既に私の手中にある!!それだけで私の力を増幅させてくれる」
「栞に何をした…!?」
「己に闇に――落ちただけだ。もはや物言わぬ、闇人形でしかない。さあ守人!もっと私に力を寄越すのだ!!」
恍惚と笑い腕を広げるヴァンデモンに、「栞、っ」太一は拳を握りしめた。
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