「あり、が、とう―――…」
ウィザーモンの体から力が抜けていくのを、感じた。「ウィザー、モン」掴んでいたその手を離して、その額に小さな口づけを残した。
「――…ありがとう。ゆっくり休んでね――おやすみなさい」
最後にまた、ウィザーモンが微笑んだ。そんな気がした。
「いや…いやっ!!」喪失感を得たヒカリの絶叫が、栞の耳に届く。「ヒカリちゃん、」顔を上げ、彼女に手を伸ばした時、栞とヒカリの間を、一つの光が繋いだ。それは一瞬であったが、確かに、ふたりの間をつないでいた。
「いやああああ!ウィザーモーーーン!!!」
始めて失う大切な友の死に、ヒカリの悲しみが頂点へと登り、彼女に触れた栞の気持ちとシンクロした。
光り輝いたヒカリの紋章――その光を受け取ったのはピコデビモンが奪った彼女のデジヴァイスだった。彼女の全てを受け取ったデジヴァイスは、眩いほどの光を放った。
「うわああああ!!」
「ヒカリの…デジヴァイスが…」
「くっ苦しい…!!」
ヒカリの気持ちを一心に受け取ったデジヴァイスを、持つことが苦痛だった。一瞬の隙に、ピコデビモンはそのデジヴァイスを離した。「っよし!!」真下にいた太一は自らの瞬発力を活かし、そのデジヴァイスを受け取った。
「ヒカリ!!受け取れー!!」
涙に濡れた頬を彼女は拭い、兄から受け取ったデジヴァイスを強く握りしめた。ヒカリの強い意思は、必ず、届く。栞は彼女の手に、自分の手を重ねた。パッと強い光が煌めいた。
「しまった…!!」
ヒカリの願いが、デジヴァイスという媒体を駆け抜け、テイルモンに流れ込んだ。テイルモンの視界には、ウィザーモンがいた。
――…おまえが守ってくれた、命だから。
彼女の体は白い光に包まれていく。
―――…必ず、ヒカリを、守人を、世界を。守ってみせる。
悲願はやがて大きな決意に変わる。頂点まで達した彼女の願いは、大きな力に変わった。
「あなたなら、叶えられる、」
「お願い、テイルモンっ!!」
優しい声が、大好きな声が、脳内に響き渡り、彼女はやっと"光"に触れた。
「テイルモン超進化ァ!――エンジェウーモン!!」
八つの光と共に舞い降りたのは、羽衣をまとった天女のような、翼を広げた天使のような、美しくも凛と佇む聖なるデジモンだった。
17/07/31 訂正
14/01/29
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