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「ヴァンデモン、なのか…?」
「でもあの大きさ…!」


 太一たちは呆気にとられていた。フジテレビのあった場所に立っていたのは、先ほどまで対峙していたヴァンデモンとは言いがたい。姿かたちもそうだが、何よりその大きさ。まるで違っていたのだ。
 蝙蝠のような4つの翼、鬣のような金色の髪、全身は赤と黒で覆われている。パーツ一つ一つが巨大で圧倒される。「まさしく獣だ…」
 それでも―いくら大きさが異なっていても、倒すべき敵であることに違いはない。アグモンとガブモンは身を引き締め、ヴァンデモンをにらみつけた。


「行くぞ、ガブモン!」
「おう!」
「アグモン進化ァ!グレイモン!!」
「ガブモン進化ァ!ガルルモン!!」


 しかし一撃も加えることもできず、ヴァンデモンは二匹に気づき、振り向きざまに突風を吹かせた。二匹は顔をしかめ、風を耐えるので精一杯だった。
 そんな二匹をあざ笑うのは傍を旋回していたピコデビモンだった。


「ヴェノムヴァンデモン様の力に声も出ないようだな、ヒヒッ!」
「ヴェノム…ヴァンデモン!?」
「アンデッドとはつまり不死身ということだ」


 ――不死、身? その言葉に、頭の中で半鐘が鳴った。それは一重に恐怖だったのかもしれない。やっとのことで倒したヴァンデモン、見ればわかるほどパワーアップして復活したとなれば―どうすれば。

 ふと、そこに先ほどの人々のように機械的な無機質な声が彼らの耳に届いた。


「パワーガ、パワーガタリナイ」
「食糧でしたらビックサイトに確保してあります!」


 待ちわびた主の復活、ピコデビモンは微笑んでその言葉に応じる。
 ビックサイト、食糧。その言葉で太一とヤマトは顔を見合わせる。まさか、あそこで捕えた人々を…?


「さあ、まいりましょう」
「――…」


 ピコデビモンの言葉に、ヴェノムヴァンデモンは何も答えなかった。ただ。にやり、と口角をあげて、一歩前に踏み出す。愉快だと、言わんばかりに。


「マズハ――オマエカラダ」


 大きな口を開けて、すぅ、と息を吸い込んだ。ただ息を吸い込むだけの行為、予想だにしていなかった出来事に、ピコデビモンは悲鳴をあげた。「な、なにをなさるのです!?―ぎゃああ!!!」必死に翼を動かせる。必死に、必死に抵抗をする。その抵抗もむなしく、ピコデビモンの悲鳴はヴェノムヴァンデモンの中へと吸い込まれ、そのまま飲み込まれてしまった。多少の満腹感を得たのか、ヴェノムヴァンデモンはゆっくり、ゆっくりと足を進めた。その進む方向には――ビッグサイトがある。


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