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「今度は天使に変身したのね」
上空でパタモンがエンジェモンに、テイルモンがエンジェウーモンに進化したのを見て、光子郎の母は驚いたようにつぶやくが、テントモンはすかさず進化だと訂正をいれた。
光子郎が両親に成熟期とは?成長期とは?と質問されたことに対して応じている間、栞は膝の上で手を組んでいた。それはまるで祈りポーズだった。―きっと葛藤しているのだろう。怖くてたまらない感情を押しとどめて、自分の中で戦っているのだろう。
「どうしたんだ!?」
「エネルギー切れだと思います…!」
狼狽した太一の声でそっと顔をあげて、外を見つめる。横たわる成熟期の二匹の姿があった。ちくりと心が痛む。
ヴェノムヴァンデモンは容赦なく力なく横たわる二匹の体を踏みつけようと一歩足を出したところで、「ホーリーアロー!!」「ヘブンズナックル!!」天女の光の弓矢と天使の正義のこぶしが突き刺さった。思わぬ攻撃によろりとヴェノムヴァンデモンの体が揺らいだ。
「邪悪な力め!」
「もう一度滅ぼしてくれるわ」
その言葉をヴェノムヴァンデモンはあざ笑っていた。
車から降り立った太一とヤマトば急いで傷ついた二匹に駆け寄り、その体を労わった。
栞はただ、目の前の闇を見上げていた。
「あの怪物も完全体、なのか?」
「調べてみま、」
「いいえ、あれは――究極体、です」
すらりとその言葉は栞から飛び出た。
「きゅ、究極体!?」
「完全体より上の進化があるのか!?」
光は、闇を照らし出す。だがあまりにも大きさやパワーが違いすぎた。
「ケッ、キカネエナ、オメエラノワザハ!」
ヴェノムヴァンデモンはそう吐き捨てる。今までだってそうだった。成長期では成熟期にかなわず、完全体には成熟期ではかなわない。結局、成長の過程は強さに比例した。
「がんばれ!エンジェモン!」
「エンジェウーモン!!」
「…!!そうだ、あの予言の続きは!?」
はっとして振り返ったヤマトの父は、光子郎に問いかける。彼は急いでパソコンを操作し、ゲンナイから送られてきた予言のページを開いた。
―――守人の心の守護を受けし天使たちがその守るべき人のもっとも愛する人へ光と希望の矢を放ったとき、奇跡が起きた―――。
「守人…これは栞さんを指すので間違いないでしょうが…」
「天使たち…天使たちってあの…」
頭に浮かんだのは、上空で戦うあの光をまとうデジモンたち。
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