「エンジェモンとエンジェウーモン!彼らが天使たちですね!」
「ではこの守るべき人というのは…」
傍らで声をかけ続けるそのパートナーたち。
「タケルくんとヒカリさんだ…。次は最も愛する人だけど…」
「ワテらに置き換えてみまひょ。天使がワテとしたら、守るべき人は光子郎はんや」
「最も愛する人は、お父さんとお母さんだ!!」
「せや!ヒカリはんとタケルはんが最も愛する人いうと…」
「家族だよ!親兄弟だ!」
ここまでの推理は完璧なものだと思う。ただ、光子郎には腑に落ちない点があった。
「でも…愛する人たちにどうして矢を放てって…」
「天使…天使よね…。ローマ神話に出てくるキューピッドは人に愛を与える矢を放つ…」
「人に愛を与える矢…」
「それや、光子郎はん!!エンジェモンとエンジェウーモンがあんさんらに矢を放つんです!!」
「おい、まだ推理の途中!」
だが太一とヤマトはすでに決心したようだった。お互いに顔を見合わせ頷くと、「タケル!」「ヒカリ!」と愛する弟妹の名を呼んだ。不安げに己らを見つめる弟妹に、兄たちは力強く叫んだ。
「エンジェウーモンの光の矢を!!」
「エンジェモンの希望の矢を!!」
「俺たちに向けて放つんだ!!」
「そんなことしたら…!!」
「お兄ちゃんたち死んじゃうかも…!!」
「死ぬもんか、なあ?」
「ああ。信じろ!」
太一はくるりと栞を振り返った。彼女は、彼をしっかりと見返していた。
穏やかなさざ波のような、春の日差しのような、そんな優しい瞳を見て、太一は笑う。―ほら、大丈夫さ。あいつが、ちゃんと、俺たちを見守ってくれている。妹たちに信じろと叫んだ兄は、もうすでに彼女を信じていたのだ。だから、太一はもう一度笑った。
「頼んだぞ、栞!」
「…うん…!!」
彼女は、しっかりと、頷き返した。
そこは、穏やかな花園の中。木々のささやき、川のせせらぎ、子供の笑う声。有が生まれていく場所だった。それは、希望であり、そして光であった。
強く祈ろう。私の持てる、すべてをささげよう。
この世界を守るために。大事な人たちを守るために。
強く祈ろう。私のすべてを、出し切ろう。
ぽぅ、ぽぅ、とヒカリがともる。
暗い夜道に街灯がともる。
ひとつ、またひとつ。 そして、花が芽吹いた。
太陽が生まれた。朝が生まれた。すべてがうまれた―――。
「……エンジェモンとエンジェウーモンに、私の、力を――」
しゃらん、しゃららららん。
鈴の音が頭の中で木霊する。すべてに命を分け与える。等しく、力を分け与える。
心が、ともる。
「私の光を!!」
「僕の希望を!!」
栞の光に呼応した彼らの光と希望がデジヴァイスを通じて天使たちに降り注ぐ。それは矢となって、形を現した。
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