「わてもいきまっせー!!テントモン進化ァ!――カブテリモン!!」
「よし、みんなで一斉に攻撃だ!!」
八体のデジモンが、ヴェノムヴァンデモンを取り囲んだ。その姿は、圧巻だった。
「チクチクバンバン!!」
「ハープーンバルカン!!」
「メテオウイング!!」
「メガブラスター!!」
「ヘヴンズナックル!!」
「ホーリーアロー!!」
「フリーズボンバー!!」
七体の必殺技が、ヴェノムヴァンデモンに見事直撃した。大きな体が揺らめいたところを、「ブレイブトルネード!」回転数をあげながら突風を巻き起こしたウォーグレイモンの攻撃が、ほかのデジモンたちが攻撃を加えていた腹部を貫通した。
「ウオォオオオオオオォオォォ!!!」
地を這うような痛みにもがく悲鳴がヴェノムヴァンデモンから洩れだし、ひざを折り、沈黙した。
「…やった、のか?」
今度こそ、と誰かが付け足した。腹部を貫かれたのだ、これ以上、戦いを続けることはおろか立ち上がることさえ困難であろう。勝利が分かった、誰の目にも明らかだ。
「…っ!!?」
だが次の瞬間、栞は、自分を支えてくれていた空を伴って、右足をおさえるように崩れる。あの時、ヴェノムヴァンデモンを抽出したことで腫れも痛みも治まっていた右足のくるぶし箇所に黒い文様が浮かび上がった。それはらせん階段を上るように上へ上へとはいずりあがってくる。
「栞!?」
「う、う、ああ、あ、ああ」
「栞っ!」
一馬は駆け寄り、その身体を掬う。痛いくらい足をおさえつけられる手を思わず取ると、代わりに強い力で腕を掴まれた。「っつ、」痛みが走るが、それでもその手を振り払ったりはできなかった。
「だめだ…。“アイツ”に息があるなら、“アイツ”は栞の体を媒体に何度でも立ち上がる…!“アイツ自身”を完膚無きまでに叩きのめさない限り、何度でも…!!」
ついでイヴモンの苦しそうな声に、空は目を見開き、はっとしてヴェノムヴァンデモンを振り返った。
「立ち、上がった…!!」
ダメージは残ってはいるものの、ヴェノムヴァンデモンは膝を伸ばして立ち上がり、咆哮した。地面が揺れ、空気がふるえる。
ウォーグレイモンの攻撃により貫通したはずだった腹部は歪に再生され、短くうめくヴェノムヴァンデモンはそこから何かを出したいようだった。
「あれはッ!!!」
予感は的中する。
ヴェノムヴァンデモンの腹部から、巨大な顔が、あらわれた。
「キャア!!」
「なっ、なんだよ、あれ!!」
ヴァンデモンのマスクをかぶった顔は、気味の悪さが際立つ。異様な光景に子供たちは戸惑い、悲鳴をあげた。
その顔は、「キイィエエエエエエアアアア!!!」と赤子の産声のような奇声をあげ、黒い衝撃波を放つ。デジモンたちは一様に吹き飛ばされ、地面にたたきつけられた。
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