「おい!ちょっときてごらん!」
小型テレビを覗きこんでいたシンの声に、子供たちは彼の手にある小型テレビを同じように覗きこんだ。
栞は、目を見開いた。
『ごらんください。これは特撮映画ではございません』
映し出されているのは、世界中を闊歩する、異形な姿。つまり、デジモン。世界遺産や飛行機などを破壊する、モンスター。
「…まだ、何か待ち受けているというの…?」
胸が締め付けられる。ヴァンデモンを倒したら、全てが終わると思っていた。悪の根源を断ち切ったのだから、もう戦うこともなくなるのだろうと。だがこの騒ぎは終焉を知らない。人知れず、ふるえた。
まだ、まだ、闇を糧にする敵がいるの―?次は、どれほど犠牲を払うの―?
「あれがプロットモンたちのいた世界?」
「いや…あれはもう、私たちのデジモンワールドではない…」
「そうですよ、こっちに来てからもう数日が経ちます。ということは、デジモンワールドでは何年も経ったことになる!」
「僕たちデジモンワールドの歪みを正さないまま来ちゃったから向こうじゃ大変なことになってるんじゃないの?」
「その影響が私たちの世界にも現れたってことね…」
空のつぶやきに、栞は焦燥感にかられた。
守るべき二つの世界。二つの世界は、見えない鎖で繋がっている。
―守り人なんだ。自分が、自分が、守らなければ。
(…行かなきゃ…。帰らなきゃ…。あちらに…戻らなきゃ…)
「栞…?」
「みんなが…みんな…きっと…待ってる…怯えてる…私が……私が、守らなきゃ――……」
無意識のうちに彼女から飛び出た言葉に、一馬は不信感を抱く。その瞳はただ空を見上げており、その先の、彼の知らない大地を見つめていた。その瞳は、焦燥感を映し、虚ろにも想えた。まるで何かに憑りつかれたようにも。声をかけることすら、ためらってしまうほどに。
「行ってみよう!もう一度、デジモンワールドに!!」
「でも…でもどうやって行くの!?」
「…はじめて…デジモンワールドに行ったときは…デジヴァイスに導かれたんだ…だったら今回もきっと!」
「うん。試してみる価値はありますね!」
「よし!みんなのデジヴァイスを集めるんだ!」
子供たちは太一の号令のもと、それぞれのデジヴァイスを空へかざす。―ただ一人、栞を除いて。
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