「どうもありがとう」


 にっこり笑った母親は、同じようにニコニコと嬉しそうな赤ん坊をつれて、最後に出て行った。
 痛いくらいペンダントを握りしめていた手を離し、ホッと安堵の息を吐く。しゅーっと、扉が閉まった。車両には子供たち以外、誰も残っていなかった。全員が練馬大根デパートに向かってしまったからだ。
 へたり込むように、空は太一の横に腰を下ろした。そして全員で一様にため息をついた。


「危なかった…」
「一時はどうなることかと思ったぜ…」
「練馬の大根デパートって、何?」
「知らない…」


 それでなくても長い旅から帰ってきた子供たち。さらにいえばマンモンとの戦闘を終えた子供たち。8人目をヴァンデモンよりも先に探しだして守らなければならないというプレッシャーもある。ましてやこの騒動だ。「疲れた…」誰かが呟いた。まさにその通りである。全員が脱力したように、小さく目を閉じた。


「ほっとしたら眠くなってきちゃった…」
「そうだな……」


 まるで振動が揺り籠のように優しく眠りを誘う。もう、いいんじゃないかな…。なんて全員が思ってしまったようだ。「ねえ、僕たちどこで降りるんだっけ…?」「中野坂上です……」「中野、さかう、……」その台詞を最後に、子供たちは深い深い眠りに落ちて行った。


17/07/27 訂正
11/10/03

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